レ点腫瘍学ノート

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JSMO2023反省会

JSMO2023 学会

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例によって例年のごとく、JSMO2023反省会を行います。これも昨年同様に、反省会というタイトルにしていますが、ふり返りという意味であって、ネガティブな意味ではありません。どういう会だったかを後年に忘れてしまうことがないように、新鮮な今の記憶をここに記録しておきます。

なお過去のJSMOの反省会記事はこちら。

JSMO 第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)-コンベンションリンケージ第19回日本臨床腫瘍学会学術集会 会期:2022年2月17日(木)~19日(土) 会場:国立京都国際会館/ザ・プリンス 京都宝ヶ池 会長:大江 裕一郎(国立がん研究センター中央病院 副院長/呼吸器内科長) 運営:コンベンションリンケージh
JSMO 2021年のJSMO(日本臨床腫瘍学会)学術集会が終わりました。忘れないうちに感想を記録しておきます。反省会というタイトルにしていますが、ネガティブな意味ではないです。反省とは「これまでの自分の言動やありかたを振り返ってみて、別の立場から改めて観察・評価すること」です。はじめにWEB会議システム抄録システムプロ

3年ぶりの現地フル開催

会場

2020年3月にコロナ禍が始まって以来、JSMO2021とJSMO2022はいずれもオンライン開催となっていました。正確にはJSMO2022はハイブリッド開催でしたが現地の参加者はきわめて少なく、ほぼ全ての演題がオンラインで視聴できたことも有って事実上のオンライン開催でした。2020年は会計年度の変更の影響でもともと開催が予定されていなかったので、今回は2019年7月以来実に4年ぶりの現地開催でした。

開催場所もこれまでは京都3回連続、その前が神戸3回連続でしたので久々の関西圏脱出です。3回続けて同じ会場というのは数年連続で会場費用を抑えると回数割引がきくという理由のようですが、それにしても関西圏以外の人にとってはまた関西か!と思われていたことでしょう。

今回も福岡なので西日本ばかりと思われているかもしれませんが。ちなみに2024年は名古屋、2025年は神戸の予定で、箱根の山を越えることはまだしばらくなさそうです。

日程

天気は連日雨天が心配されていましたが実際にはDay2の夕方から雨模様になっただけで、ほとんどの会期は曇天または晴れで過ごせました。気温も春だからなのか九州だからなのか暖かく、コートを着ること無く過ごせたので、やはり2月の京都開催と比べると3月の福岡開催はよいですね。

ただ、今回ザンクトガレン国際乳癌学会(3月15日〜18日)と日程が丸ごと重なっていました。昨年はASCO-GUと重なり婦人科・泌尿器領域の人たちが昼はJSMO2022にライブ参加、夜はASCO-GUにライブ参加で大変だったようですが、今回は現地開催なので乳癌領域の人たちでザンクトガレン優先でJSMO2023 に不参加という人も少なくなかったようです。毎年のように他の主要な学会と重なりますね…。

プログラム構成と学会アプリ

過去の取り組みを活かしたプログラム構成

過去2回のオンライン開催では、多くの新しい試みが導入され、その中で好評だった取り組みが今回の学会でもうまく活かされていました。例えば、数年前から導入された注目演題の紹介を行う企画であるHighlight of the Dayが開催され、ディスカッサントによる注目演題の解説が行われました。これは、ASCOなどの国際学会でも取り入れられている方法で、JSMOでも定着しつつある印象です。

前回のJSMO2022では座長がリモート参加する演題が多く、タイムキーピングがうまく機能していない場面も見られました。しかし今回のJSMO2023は座長と演者が原則として現地開催となったため、このような問題は解消されました。

コロナ禍初の開催だったJSMO2021はWEB開催の不慣れと応募演題数の激減のあおりを受けてASCOのアンコール発表や教育セミナーのようなレビュー講演が多すぎた印象でしたが、それも修正されて今回は教育セミナーの部屋では教育講演が行われているがその他の部屋では新規発表に限られ、ちゃんと棲み分けができているようでした。

海外方式を取り入れたポスター発表

ポスター発表では、海外学会を参考にして横長ポスターが採用されています。今後、縦長ポスターに戻ることはないと考えられます。ポスター発表の形式も、以前のオーラルプレゼンテーション形式から、海外学会のように45分間のディスカッションタイムを設け、演者がポスターの前で質問を受け付ける形式に変更されました。これにより、ポスター発表の過密化が避けられ、良い試みとなりました。

類似領域の時間重複の課題

いつも有ることですが、学会プログラムでは、類似のテーマが時間的に重なってしまうことがあり、参加者にとって残念な点がありました。例えば、Day3のOral Session 14は上部消化管癌の大型演題が多数ありましたが、後半の一部が上部消化管の優秀演題がずらりと並んだPresidential Session 4と重なっており、上部消化管癌を専門にするオンコロジストにとって、複数の重要な演題が同時刻に開催されることが課題となっていました。

その他にもDay3は、Oral Session 15の肝胆膵とMini Oral Sessionの消化器8,9,10と肝胆膵4,5が全て14〜15時台で丸かぶりです。Day1午後も会長企画シンポジウムとMini Oral Sessionは領域かぶりがありました。プログラムを組むのが大変というのはもちろん判るのですが、今回はいつも以上に同じ時間帯に聞きたい演題が重なっているのが多く感じられました。

7:30からのモーニングセミナー、12列あるうちの3つが血液(骨髄腫、マントルリンパ腫、ホジキンリンパ腫)で2つが疼痛緩和、2つが肺癌肺癌。共催企業もライバルと共食いしたくはないだろうから、別日や別時間帯にバラすことはできなかったんだろうか? #JSMO2023

— レ点🧬💊💉 (@m0370) March 17, 2023

Day2午後の空白時間の問題

JSMOでは、Day2の午後に総会受賞者記念講演などが開催され、その時間帯は他の演題がなく空白になることが恒例です。しかし今回は20周年記念企画が追加され、空白時間が例年よりも拡大し、実に4時間以上に及びました。参加者は仕事をやりくりして休みを取って参加しているため、この半日の空白時間は何とか改善してもらいたいところです。

そして毎年あるこのDay2の昼間の空白時間、ちょっとな。。。今年は特に20周年企画も加わって4時間もある。総会が重要なのはわかるけど、こちらも苦しい仕事時間をやり繰りしてなんとかスケジュールを捻出して遠征しているので…(´・ω・`) #JSMO2023 pic.twitter.com/YNzZedF5VG

— レ点🧬💊💉 (@m0370) January 30, 2023

抄録アプリ

今回も、評判の良かったMICENaviではなく、オリジナルの抄録アプリが採用されました。マイスケジュール機能でPC版とiOS版にブックマークした演題を同期できるというのが売りの一つでしたが、一部の環境では同期に問題が発生していました。ただし、Twitterで同様のトラブルを報告している人は見当たらなかったため、個別の端末の問題であった可能性もあります。

抄録アプリの公開は開会の8日前で、これは過去のツイートを見る限り例年通りのタイミングであるようです。

リアル学会 v.s. オンライン学会

多くの出会いでリアル学会の魅力を再確認

今回、3日間の会期中に実に多くの人に出会いました。

今までに何度か会って食事に行ったことがある人もいれば、近隣の病院だけど直接話をしたことがない相手、Twitterでしか知り合えなかった人もいれば、知人の知人という形で初めて話す人も。学会や仕事とは関係なく個人的に、3日間であわせて30人近く会って話をしたでしょうか。異なる職場で働くがん診療関係者とこんなに沢山会ったのは今までのJSMOと比べても格段に多く、非常に楽しく充実した学会でした。こういう出会いがあるのはやはりリアル学会の魅力ですね。

会場は活気に溢れており、顔を合わせて意見交換ができるのは、リアル学会ならではの魅力です。しかし、会場移動の所要時間や体力面での負担を考慮すると、オンライン開催の利点も再認識することができました。

会場移動の所要時間でオンライン開催の良さを感じることも

福岡国際会議場とマリンメッセは歩いて2分ほどの距離ではあるのですが、それでも行ったり来たりするとそれなりの労力です。一番離れたマリンメッセA館のサブアリーナは一番海側で、ここから国際会議場の会場への移動となると5分程度はかかります。1演題だけ聞いて別の部屋へということがなかなかできず、オンライン開催に比べてやはりリアル学会は体力的にはきついなとおもいました。

ただ、現地参加者が前回より大幅に増えたのにどこも行列がほとんどなくスムーズに開催されていたのは運営力の高さを感じます。廊下やロビーの至る所にPC用電源が備えられた机や椅子が多数あり休憩時間を過ごす場所にも大変配慮された会場構成でした。

しかもポスター会場横の休憩スペース以外にもコーヒーサーバーなどが至る所にあり(会場案内図には書かれていない国際会議場の上の階にもありましたよね)、うれしい驚きでした。ランチョンセミナーも整理券方式では無かったので大混雑・大行列になるのかと思いきや、並ぶことなく速やかに部屋に入ることができて大変よかったです。

企業参加

企業ブースも以前の学会らしい活気が戻ってきましたね。一方で以前に比べて企業ブースの出展をやめてしまった会社も少なくないようです。大鵬薬品、メルク、中外製薬などオンコロジー大手でもブースが見当たらないところもありました。これは時代の流れで、しかたがないことですけどね。

書籍展示販売があるのは非常にうれしいところです。2022年は紀伊國屋書店とガリバー書店が出店しておりましたが、JSMO2023では紀伊國屋書店と神陵文庫が国際会議場の4階と3階に出店していました。8000円以上買えば送料無料です。医学書を実際に手に取って中身を見て商品を選べるというのはAmazonにはない大きな利点です。書籍展示販売を応援する意味も込めて6冊3万円あまりを購入しました。

ライブWEB配信演題の少なさ

今回は前回・前々回と比べてWEBでのライブ配信は大幅に縮小されました。ライブ配信されたのは第1会場、第7会場、PAPプログラム、一部の共催セミナーのみ。4月3日からのオンデマンド配信はPresidential Session、会長企画、教育講演、Highlight of the dayのみ。全体から言えばWEB配信で視聴できるのは2〜3割にとどまるといったところでしょうか。

ライブ配信される部屋が第1会場、第7会場のみだったので参加者が幅広く集まりそうな演題をこの2つの部屋に集中させる傾向はあったようですが、やはりこの2部屋のみではライブ配信のキャパ不足であったように思います。第1会場はポスター会場横の一番大きなホールでしたので、さすがにここにはHighlights of the Dayや会長企画シンポジウム、Presidential Sessionが配置されていました。第7会場はASCOやESMO、遺伝や循環器など他領域学会との合同シンポジウムが数多く配置されてはいました。

しかし、たとえば医学生・研修医のための腫瘍内科セミナーなどはJSMOも力を入れていて幅広くからの参加者を募りたい企画だったはずですがライブ配信の第7会場にはこれは配置されず、その時間帯を使っているのは肝胆膵のOral Sessionです。せめてもう1部屋ライブ配信ができる部屋があればよかったのに、と思わざるを得ません。

Day3午後の「医学生研修医のための腫瘍内科セミナー(の第一部・第二部)」やシンポジウム25「がんゲノムPros/Cons」こそライブ配信やオンデマンド公開したら良いのにな。医学生研修医セミナーなんて(学会の将来や勧誘のことも考えたら)なりふり構わず視聴者を増やすべき演題なのに… #JSMO2023

— レ点🧬💊💉 (@m0370) March 18, 2023

オンデマンド配信の少なさ

ライブ配信に比べて4月3日からのオンデマンド配信はさらに少ない。「がん専門CRCアドバンストセミナー」「がん医療の精神症状シンポ」「循環器学会合同シンポ(Oncocardiology)」「シンポ10(がんサバイバー)」「3学会合同がんゲノムシンポ」「シンポ20(ACP)」「教育企画部会(アジアの腫瘍内科教育)」等の多領域横断的なのはオンデマンドにしてほしかった。

こういう領域横断系のテーマは学会参加スケジュールを組むと「当日は第一希望の臓器別セッションを聞きに行くけど、もし行けたら行きたい第二候補的な演題」になりがちで、現地参加者が少なくても潜在的な需要はあると思うんですよね。

そもそも学会は3月18日に終わっているので、オンデマンド配信は3月20日くらいから開始できないもんなのでしょうか。オンデマンド配信は4月3日からということですが、アーカイブ動画の編集に2週間も時間がかかるとその間に熱気が冷めてしまうので結局オンデマンド配信を見ない、というオチになりがちです。

英語

もはや定番となってきた英語主体のJSMO

2019年から医療制度や多職種合同のセッションを除くほとんどの演題が英語で行われるようになり、2021年からはポスターセッションも含めてほぼ全ての領域が英語で行われるようになりました。海外からの参加者も多いため、もはやJSMOは日本語限定開催には戻れなくなっており、みんなもそれを受け入れている印象です。

ただし、この英語がメインというのが若い世代の新規参入者を拒んでいるような面も否めません。研修医などの若手世代や、看護師薬剤師など多職種ががん診療に関心を持っても、英語であるがためにJSMOへの参加をやめてしまうようなことがあってはもったいない。また、ポスター発表をしてみようかというテーマを持っている地域の中小規模施設の腫瘍内科医にも発表をためらわせることになりかねません。

今回のポスターはプレゼンテーションを無くしてディスカッションタイムを45分間設けるという方式になっていたことから、結果的に必ずしも英語が話せない人でも参入する余地を生んでくれていると感じました。このくらい、英語が苦手な人でも参加できる場を残しておいてくれるほうが今後の参加者を増やすためにもプラスに作用するのではないかと思います。

また、ディスカッサントは発表の解説役ということなのであればディスカッサントは日本語で話すというのもありかも?どうも自分の専門ではないことをきわめて短い準備時間で英語プレゼンさせられるディスカッサントの先生が大変そうすぎて、気になりました。

ちなみに、個人的には英語は読むのは全然平気ですし、聞くのも専門領域のプレゼンテーションを聞くだけであればそれほど支障なくできていると思いますが、話すのと書くのはきわめて苦手です。今回のJSMO2023でも質疑応答を何回かしましたが、タジタジになりすぎて自分でも何を言っているのかわからなくなる感じでした。英語が話せるようにならないと、JSMOで活躍することは難しいですね。

その他

SNSとインターネット広報

これについては別の記事に記載しています。ぜひこちらもご覧くださいね。

SNS JSMO2023 JSMO2023における学会公式Twitterアカウントを通じて、学会のSNS発信に関して抱いた雑感をメモしておきます。JSMOはオープンにSNSをやる風土がなかなかない学会のハッシュタグの利用者を増やすためにハッシュタグを使う人が増えれば学会SNSの広報にも広がりが生まれる広報担当者だけでは限

コングレスバッグ

普段はあまり気にも留めない、なんなら荷物が増えるからもらわないこともあるコングレスバッグですが、今回のは品質もデザインも非常によかったので今後は院内でPCなどを持ち運ぶためにこのバッグを活用しようと思っています。グレーとブルーで迷いましたが、グレーは持ち紐の部分がオレンジだったのが残念(ここがブルーか黒だったら完璧でした)。

外観にださいロゴが入っていたりすると使う気がなくなってしまいますが今回はそんなこともなく、バッグの内側にJSMO2023のキャッチフレーズであるCancer, Science and Lifeとだけ書いてあるシンプルデザインも非常にグッドです。これはうれしいプレゼントになりました。

最後に

色々と書きましたが、コロナ禍以降のJSMOは(発表内容だけではなく)プログラム構成や会場運営も含めて年々改善されて学会開催のノウハウが蓄積されてきているように思います。特に現地開催の盛り上がりで、あらためて学会ってこんなに楽しいのかということを再認識でき、大変楽しい3日間になりました。運営の方がたの大変さもときどき垣間見えましたが、本当にお疲れさまでした!

今回いろんな先生が裏方で立ち回ってるのが時々チラチラ見えて、忙しそうだけど楽しそうだったんだよな。いつかそういう仕事に関わることもあるだろうか?(本社の社長が万が一定年までに会長をやることがあれば関連社員は徴兵されると思うが) https://t.co/Lo4vgx3ZeR

— レ点🧬💊💉 (@m0370) March 18, 2023

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更新日:2023-03-20 閲覧数:964 views.