レ点腫瘍学ノート

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JSMO2021反省会会場

JSMO

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2021年のJSMO(日本臨床腫瘍学会)学術集会が終わりました。忘れないうちに感想を記録しておきます。反省会というタイトルにしていますが、ネガティブな意味ではないです。反省とは「これまでの自分の言動やありかたを振り返ってみて、別の立場から改めて観察・評価すること」です。

はじめに

今回はコロナ禍の影響で初の全面WEB開催となった会でした。2019年までは毎年7月後半に開催されていたJSMOが2020年は開催されず2021年から2月に開催されることになり(オリンピックで会場が押さえられなかったのかと思いきや会計年度の変更によるもののようです)、1年半ぶりの開催でした。これまでの学術集会と異なる点があまりにも多いWEB学会でしたが、コロナ禍の2年目ともなると参加者もみんなzoomなどリモートプレゼンテーションにも慣れてきてかなり円滑でした。

【京都入り】
待機命令!によりJSMO事務局員はJSMO2021本部(京都)に詰めております。
京都からJSMO2021本部の様子をツイートしてまいります。#JSMO2021 pic.twitter.com/u3ohS8catj

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) February 18, 2021

事務局の方々は国立京都国際会館まで来て実務にあたっていたようです。WEB開催なんだからホームの近畿大学でやってもよかったような気もしますが…。

どんどん雪が強くなってきた。これ、外から生中継はつらい。 pic.twitter.com/DzG7ABJe76

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 18, 2021

初日の開会式は国立京都国際会館の庭園で開催されたようです。ここは小泉首相の時代にブッシュ大統領が京都に来て、一緒に歩いていた場所のあたりのようですねぇ。普段は日本らしさもある美しいところで夏は花火も観られたりするんですが、今回の開会式の日は寒そうでした。閉会式の日は暖かかったので、逆だったら良かったですね。。。

(ちなみに、実は小規模な部分的WEB開催については2017年に岡山大学の谷本光音先生が会長をされたときに、神戸国際会議場・国際展示場のメイン会場と、PAP企画を行う岡山大学キャンパスの岡山会場をWEB回線で接続して開催した実績があります)

WEB会議システム

zoomを採用したのは大正解

日本内科学会など他の学会が独自システムを構築して実施していたのに対して今回のJSMOはzoomに全面的に乗っかる作戦にしたようでしたが、これは大正解だったと思います。もっとも多く使われているソフトと思いますし、その分参加者も操作になれている印象でした。zoomに全面的に乗っかることで回線トラブルもほとんどなく、重くてアクセスできないこともなく、PCでもスマホでもタブレットでもアクセスできます。ちなみにzoomはスマホでは電話アプリと見なされるらしく、車のハンズフリー通話機能を使って操作することもできました。

【JSMO2021ピックアップ】
日本癌学会/日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会 合同シンポジウム がんゲノム医療に対する3学会の取り組みの画像。#JSMO2021 pic.twitter.com/SKOF8gAcpw

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) February 18, 2021

質疑応答のシステムは改善余地あり?

質疑応答はzoomのチャット欄に入力する方式を採用していましたが、チャット入力はどうしても入力時間がかかるので質問時間が打ち切られてしまい間に合わないこともありました。しかし通話機能で質問し始めると一層混乱を招きそうなので、これはやむを得ないですね。座長が1人のセッションでは座長が演者の話を聞きつつ適切な質問を選別するのが煩雑になり間に合っていない様子だったので、WEB開催で特にディスカッションが重視されるタイプのシンポジウムでは座長は複数いるほうがよさそうです。「英語のセッションでも質問は日本語でも可とする」というのも一つの解決策かと思います。

抄録システム

MICE-naviには毎回満足

JSMOは毎回MICE-naviという抄録システムを使っています。以前からiPhone/iPad/PCでブックマークが全て同期できてスケジュールで一覧できるし演題時間が近づいたらスマホでわかるという機能はありましたが、今回は各演題のzoomのログインをMICE-naviで行う方式になっていたのでPCでもiPhoneでもほぼすべてMICE-naviで演題を探し、MICE-naviでスケジュールを管理し、MICE-naviで各演題のブースに入るという方式でした。過去のバージョンでは登録していたスケジュールが全て消えてしまって痛い目に遭ったこともあったのですが、今回はそういう問題もなく非常に優れたアプリだったと思います。次回からもこのアプリを採用して欲しい。

プログラム構成

プログラムの時間配分は良かった

もともとリアル学会では例年通り3日間の予定でしたが、今年はWEBで実施することになり会期が4日間に伸ばされました。各セッションの間は1時間程度の隙間が空けられており、プログラム間の待ち時間が結構あるかと思いましたが、実際の所は部屋移動のしやすさもあってセッションが終わればすぐに別の部屋に入り、途切れることなく朝8時〜夜22:30までほぼずっと接続しっぱなしでした。

臓器別セッションは新鮮味が少ない!?

内容としては、臓器別シンポジウムはちょっとレビュー講演やASCOのアンコール発表が多すぎるような気はします。すでに報告されている研究の成果をもう一度聞くよりは、同じ臨床試験であっても別の切り口からのデータ解析など新しい知見が欲しい。

せっかくの学会なのでディスカッションが盛り上がってほしいところです。たとえばSY16「乳癌治療におけるde-escalationを考える」のような普段はなかなか見られない切り口からの特集、そして運用や体制整備に関するJS1「がんゲノム医療に対する3学会の取り組み」やMO28「多職種連携プログラム・チーム医療 2」、あるいは学会組織としての使命について考えるPSY5「新専門医制度」などは、討論も盛り上がり企業主催講演会では聞かない話で充実していました。

企業講演会では聞けないプログラムの組み方が上手だなぁといつも思うのはJSMOではなく基礎系寄りの日本癌学会(JCA)です。JCAには臓器別にわかれているセッションもあるのですが、「解析手法別」とか「起こっている現象別」といった切り口でテーマを分けていておもしろい独特の構成です。あれは他の学会も真似すれば良いのになぁと思っています。

すでに発表された研究成果のレビューや振り返りは、どちらかというとスポンサードセミナーか教育セミナー・best of ASCO japanなどに任せるべきかと感じます。

自宅で見られるので身体はラクだった

best of ASCO japanの時も感じたけど自宅で聞くと疲れが少ないので8時から22時までぶっ通しでも余裕だな。リアル学会特有の高揚感みたいなのは無いけれど、来年からもリアル学会には戻れないんじゃないかしら。 #JSMO2021

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 19, 2021

朝7時から23時までの長時間プログラムでしたが自宅で自由に聞けるので疲労感は心配したほどはありません。これは2020年Best of ASCO Japanのときにも感じました。会場への新幹線・飛行機での移動も要らないしスーツや革靴も不要で、会場内の部屋の移動も自由自在なのは、身体的にはかなり楽ですね。自宅なので聞きたいセッションの直前まで寝ていて身支度もせずにいきなり参加できますし、終わったらすぐに休むこともできます。本当に食料を調達するときとトイレに行くときくらいしか移動をしませんでした。

オンデマンド

ほとんどの演題をあとから見ることができる

WEB開催の良いところは発表が録画で残り、あとからオンデマンドで視聴できるところです。リアル学会でもビデオ撮影をしている演題もあると思いますが、リアル学会ではオンデマンド視聴の機会はほとんど提供されません。それに対して今回はスポンサードセミナーを除くほとんどの演題を後から自由に視聴できます。これは画期的なことと思います。

熱気が冷める前にもっと早く観たい!

視聴期間が3月1日から3月31日というのが、少しもどかしいですね。学会の熱気というのは意外にすぐに冷めてしまうので、リアル開催の翌日くらいからすぐ視聴できればさらによいのですが。また、聞きたかった講演がオンデマンドに対応していないケースも少なくないようです(室先生の胃癌講演を聴きたかった!)。

英語

国際化を目指すJSMOの姿勢は理解できる

以前からJSMOはアジア最大のオンコロジーカンファレンスを目指して国際化・英語化に取り組んできていました。主要なシンポジウムから徐々に英語化されてゆき、2019年には医療制度系や多職種合同系を除くほとんどのオーラルセッション・シンポジウムの大部分が英語で行われることになりましたが、ポスターセッションはかろうじて日本語が残されていました。しかし2021年はついにポスターセッションも英語で行われることになり、結局日本語が残っているのはスポンサードセミナーと多職種合同系の一部のみになりました。全演題の8割は英語で発表されていたのではないでしょうか。

発表者はつらいが視聴者は意外と大丈夫そう

英語がそこまで得意ではない発表者にはつらかったのではないかと思いますが、聞く側としては英語での発表でもそれほど苦痛はありませんでした(ぼくはTwitterでたびたび明言しているように英語は非常に苦手意識が強く、英語が無ければ大学受験で苦労することも無かったろうと思っているタイプです)。

そもそもみんな英語が苦手ではないのか!?

発表者のみなさんが予想以上に英語が流暢な人が多かったのも驚きました。留学経験がある人ばかりではなさそうですが、みなさん一体何処で英語を学ばれてきたのでしょう?オンコロジーの世界で活躍するには英語も必須技能の一つだと感じます。

「JSMO参加後の英会話教室入会率およびその12ヶ月後の継続予後の検討について」

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 20, 2021

外国人座長?

前述の質問のしにくさにも関係するのですが、最近のJSMOは外国人が座長を務めるセッションが少なくありません。国際化を目指すという意味では正しいのですが、国際的な治療開発などについて話すセッションならともかく、国内の医療事情についての議論が起こるテーマではやはり国内から座長を選ぶべきかと感じました。

具体例としては最終日のPresidental session 3でがんゲノム医療の現状と課題についての議論が行われた場面。オーストラリアの先生が座長を務めておられましたが、日本のがん遺伝子パネル検査の保険制度やその後の治療につながるかどうかという問題は国内の保健情勢や地域格差などに詳しくないと議論に参加しにくかったのではないかと感じました。このテーマに海外からの座長の先生を起用するというのはやや荷が重く見えました。

他職種や医学生には参加のハードルが高い

(医師は英語ができる人が多いかも知れませんが)他の職種にとって英語での開催というのは敷居を高めてしまう恐れがあります。JSMOは医学生の参加も促していますが、初心者でも日本語で気楽に参加しやすいセッションを様々な時間帯・様々な領域に用意しておくことが参加者を増やす門戸を広げる事になるのではないかと思いますし、演題応募数の増加にも貢献するのではないかとも感じます。

SNS(主にTwitter)

JSMOは以前からときどきFacebookに投稿していましたがTwitterを活用している様子はあまりありませんでした。しかし今回は会期の数日前から急に公式Twitterアカウントがツイートを始めました。それも、いままでの真面目でお堅いJSMOとは思えないはっちゃけたツイートなので驚きました。

【ご挨拶】
こんにちは。JSMO事務局です。
いよいよ本日15時30分よりJSMO2021が開幕します。
PR下手で地味なJSMOですが、ここからは(いつもより少しだけ)ド派手にツイートして行こうかと思っております。

閉会式(参加登録したかたのみ視聴可)https://t.co/qeopT0Tr7m#JSMO2021

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) February 18, 2021

いきなり開会のツイートで「閉会式」と誤字をしてしまったのにはずっこけました。慣れないところを頑張っている様子が伝わってきますねぇ。

将来的には双方向コミュニケーションを目指してほしい

JSMOがTwitterを使うようになったのは歓迎しますが、ただの広報から、今後はより双方向性を高める方向に持っていきたいですね。そのためにはTwitter側にJSMOの様子を見せるだけでなく、JSMOに参加している人をTwitterに誘導してディスカッションさせる取り組みがあるとよいかと思います。より双方向性を高めるためには、おそらく抄録1つごとにURLが割り振られている必要があります(Pubmedにsupplとして掲出するのでもよいです)。

抄録やスライドをネットにリンクさせたい

ASCO(米国臨床腫瘍学会)は非常に上手にTwitterをつかっていると思いますが、たとえば発表内容を紹介しているツイートをASCO公式アカウントがRTするなどして、ASCO公式アカウントが積極的にTwitter上でディスカッションをさせようと仕向けている様子がありますね。また、さらに大胆な施策としてはスライドのスクリーンショットをSNSに出すことを認めればいうこと無しです。

ASCOがスライドのスクリーンショットを出すことを公式に認めているのかどうかは知りませんが、ASCOの会期中はスライドの画像がTwitterにたくさん流れてきますし、ASCOの公式TwitterアカウントがそのツイートをRTしていたりします。あれくらいやれば議論も盛り上がりそう。

SNS。Twitterを使い始めたのはよいことだけど(Facebookより即時性があるので実況に向いている)、まだ改善の余地あるかもね。ASCOのTwitterアカウントから学ぶところは多いと思う。Twitterでの意見を拾い上げる、リアル講演を見ている人にツイートでのディスカッションを促す、など。

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 19, 2021

今回なくなったもの

弁当

COIのない清く正しい本来の姿と言ってしまえばそれまでですが。WEBなので昼食の弁当やその他の休憩時間に提供されていたサンドイッチなどの軽食はありません。

今回は事務局の企画で主幹大学である近畿大学の名物のクエ鍋とかキンキのカレーが抽選でもらえるそうですが、誰の手に渡るんでしょうね?

書籍コーナー

書籍コーナーでパラパラと新刊を立ち読みしたりできない。医学書は一冊が高いのでAmazonで購入した後で「思っていたのと違った」となったときに損失が大きいのですが、一般の書店には実物がないので中身を確かめるチャンスが学会の書籍ブースくらいしかありません。あの機会に新刊をチェックしたり気になる本に出会うことができたので、医学系出版社の各社にとっては本当に厳しい時代になったと思います。

企業出展

企業出展ブースはMICE-naviの中にそれらしきコーナーが用意されていましたが、正直なところ企業のWebサイトを直接訪れたほうが得られる情報も多いのであまり意味はなさそうな。しかしあのコーナーに出展してくれている企業というのはJSMOを応援してくれているスポンサーシップでもあるのでありがたい存在です。なんとか使いやすく改善して、今後もJSMOを応援してくれる企業を増やしたいところ。

人との出会い(ただしオンラインでの出会いは増加)

同業者や旧友との出会い。こればかりはJSMOの仕事じゃないと言われてしまいそうですが。WEB学会は便利な反面、やはり普段は話す機会の少ない他院の同業者、昔一緒に働いた旧友や先輩後輩と出会うというのも学会の大きな楽しみだったのは事実です。

一方でTwitter上ではほとんど朝から晩まで誰かがJSMO2021の話をしていて、これだけ互いの意見を聞きながら学会に参加したのは初めてかも知れません。今までは黙って話を聞いていないと、こんなに私語をしていたらきっと叱られましたからね。そういう意味では、互いに顔を合わせなくても(そもそもTwitterには互いの顔も名前も知らない人が少なくない)友人たちとのつながりは今まで以上に感じられたとも言えます。

コロナ禍にあっても、なんとか人と人とのつながりを大切にしたいですね。

最後に

それにしても、濃厚な4日間でした。参加者の皆さんも朝から晩まで、事務局の方々はそれよりももっと前からずっと大変だったと思いますが、おかげさまで非常に楽しい4日間になりました。お疲れさまでした!

【ご挨拶】
こんばんは。JSMO事務局です。
4日間のJSMO2021が終了いたしました。
JSMO2021が終わるともうすぐ春🌸ですね。
事務局員ツイート隊は今日から普通の事務局員にもどります。
短い間でしたがありがとうございました。
またJSMO2022でお会いしましょう👋#JSMO2021

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) February 21, 2021

個人的な反省

(子どもたちは明日どこかに連れて行けと泣いてるし、有給とって家にいるのに家事をほとんど何もせず8時から23時までパソコンに張りついているので家の人のイライラもかなりたまってきてて、明日も同じ生活をするのは無理かもしれん…)

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 20, 2021

そうそう。個人的な反省としては、この4日間ほとんど朝から晩まで家事育児を放棄していたために子どもたちを含めて家族はかなりストレスがたまっていたようです。最終日は少し外に連れ出したり(その間もスマホとイヤホンでJSMO2021には参加していましたが)、ケーキを買ってきて機嫌を取ったりしましたが、やはり4日間連続で参加するのは体力的な問題以前に家庭内平和的な対策が必要と感じました!

朝食を食べた後の皿洗いもせずにずっとJSMO2021を見ていたので、仕事から帰ってきてそれを見た人にも「ずっと家にいたのにお皿も洗ってないってどういうこと!」と叱られてる

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 19, 2021

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更新日:2021-02-21 閲覧数:1374 views.