レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2024年 / 4月26日

日本胃癌学会バイオマーカー検査の手引きを読む

腫瘍内科 胃癌 検査

日本胃癌学会からバイオマーカー検査の手引きが4月末頃に発表されるという噂は聞いていたが、2024年4月25日に発表された。胃癌学会のウェブサイトから確認することができる。

https://www.jgca.jp/news/202404251036/

ちょうど抗CLDN18.2抗体ゾルベツキシマブの適応判定のためのCLDN18の免疫組織化学染色「’’ベンタナ OptiView CLDN18 (43-14A)’’」の保険承認の資料*1も流れてきて5月から実施可能となる。主な使用目的は「がん組織中のCLDN18 タンパクの検出(ゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)の胃癌患者への適応を判定するための補助に用いる)」。

4検査の実施タイミング

さて上記のバイオマーカー検査の手引きを読むと各検査の説明のあとに検査の実施タイミングの章がある。HER2検査、CLDN18検査、PD-L1(CPS)検査、MSI/MMR検査をどのタイミングで行うべきかの指針を提示してくれている。なお、この4検査はすべて免疫染色ベースで行う検査であるため大腸癌のKRAS/BRAF検査などのようにNGS(遺伝子パネル検査)ですべてを代用することはできない(MSI検査やHER2増幅などを見ることなど部分的には代用できる)。

この手引きが最も推奨するタイミングは「4検査同時に実施する」となっている。TATが短いだけでなく、薄切などの工程が省けることで微小な生検検体でも効率的に検査が実施でき、検体の採取、保管、管理の観点からも望ましいと理由を挙げている。

4検査を同時に実施できない場合、最小限の検査として一次治療の決定に不可欠なHER2・CLDN18検査を優先し、さらに可能であれば残りの検査を追加することを推奨している。

MSI/MMR検査のタイミングに関する記述

この手引きではMSI/MMR検査について「がん化学療法後に増悪した進行・再発のMSI-H/dMMRを有する標準的な治療が困難な固形癌が対象であり、厳密には一次治療前の検査実施は保険適用となっていない。」との記載があるが、ここには少し疑問を感じる。先日の当サイトの記事で書いたとおり、おそらくMSI検査はいまは治療ラインにかかわらず出検できるはずである。この記載は保険診療のしばりが外れる前の基準に準拠していて少し古いような気もする。どのように考えるか、悩ましいところ。

腫瘍内科 がんゲノム 昨日じなん先生と話していたMSI検査を切除不能一次治療の開始前から実施してよいかという件についていろいろ調べていたところ、どうやら令和3年8月25日付の通達によって標準治療終了見込みと言う縛りが外れているようだと言う文章を見つけた。完全に見落としていた。変遷2020年4月診療報酬改定以前2020年4月診療

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*1 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00252.html

更新日:2024-04-26 閲覧数:72 views.