カピバセルチブのコンパニオン検査としてのFoundationOne CDx
ルミナル乳癌のカピバセルチブのコンパニオン検査としてのFoundationOne CDxの保険点数は16,000点ということが確定した。
https://ajhc.or.jp/siryo/20240430-1.pdf
FoundationOne CDxはがんゲノムプロファイリング検査として実施する場合の保険点数はがんゲノムプロファイリング検査44,000点とがんゲノムプロファイリング評価提供料12,000点の合計56,000点だが、FoundationOne CDxをコンパニオン検査として実施した場合は臓器とその目的とする遺伝子によって異なってくる。
FoundationOne CDxを出検するためには40万円台後半の検査料を検査会社に支払っている医療機関が多いと思われるが、コンパニオン検査として実施する場合に算定できるのは保険点数は数千点から20,200点程度で、ほとんどの場合は非常に大きく差額の持ち出しが出てくることになる。
カピバセルチブのコンパニオン点数の求め方
カピバセルチブをコンパニオン検査として実施した場合の点数は合計16,000点だが、その求め方は以下のようになる(以下の記載は令和4年診療報酬、令和6年診療報酬に準拠)。
1 悪性腫瘍遺伝子検査
イ 処理が容易なもの
(1) 医薬品の適応判定の補助等に用いるもの 2500点
(2) その他のもの 2100点
ロ 処理が複雑なもの 5000点
注1 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対してイに掲げる検査を実施した場合は、所定点数にかかわらず、検査の項目数に応じて次に掲げる点数により算定する。
イ 2項目 4000点
ロ 3項目 6000点
ハ 4項目以上 8000点
注2 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対してロに掲げる検査を実施した場合は、所定点数にかかわらず、検査の項目数に応じて次に掲げる点数により算定する。
イ 2項目 8000点
ロ 3項目以上 12000点
2 抗悪性腫瘍剤感受性検査 2500点
16,000点の内訳は、D004-2悪性腫瘍組織検査のうち、
1 悪性腫瘍遺伝子検査 イ 処理が容易なもの2項目4000点(HER2・MSI)と、
1 悪性腫瘍遺伝子検査 ロ 処理が複雑なもの3項目以上12000点(NTRK・AKT1・PIK3CA・PTENなど)の合計(4000点+16000点)からなる。
将来的に点数が増える余地があるか
BRAF
診療報酬改定そのものによって点数が増加される可能性はあるものの期待はしにくい。既存の枠組みの中で点数が追加されそうな余地があるものの一つはBRAFだ。今のところBRAFのコンパニオン(適応判定の補助)としては悪性黒色腫しか適応を取得していない。大腸癌でも適応が取れていないのは意外なところだが、MEBGEN BRAF 3キットがダブラフェニブ・トラメチニブのコンパニオン検査として承認されているようにFoundationOne CDxも適応を取得できれば、D004-2の1のイの「処理が容易なもの」でもう1項目とれるようになって3項目6000点行けるかもしれない。
BRCA1/2
もうひとつ乳癌でのコンパニオン検査として診断能が認められる余地があるとすれば、BRCA1/2かもしれない。乳癌のBRCA1/2としてはBRACAnalysisが20200点の保険点数を認められているし、一方でFoundationOne CDxも卵巣癌や前立腺癌での診断能を認められている。
もっとも、すでに乳癌ではすでに承認されたPARP阻害剤であるオラパリブやタラゾパリブはgermline BRCA1/2に対する有効性を取得しているが、FoundationOne CDxはgermline BRCA1/2ではなくsomatic BRCA1/2しか判定することができないので、somatic BRCA1/2に対する有効性を示したPARP阻害剤が出てくることが必要条件となる。
たとえばルカパリブなどはsomatic BRCA1/2での臨床試験を実施しているため、このようなsomatic BRCA1/2を狙ったPARP阻害剤が出てくるときにFoundationOne CDxがそのコンパニオン承認となれば、MSI・HER2・BRAFで6000点、NTRK・AKT1・PIC3CA・PTENで12000点、BRCA1/2で20200点で合計38200点が算定できるようになるかもしれない。非常に気の長い話だし、それが実現する日が本当に来るのかどうかはわからないが。
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更新日:2024-05-07 閲覧数:923 views.