入院でD-FLOTができるようになって、今度はスケジュールで詰まった
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胃癌周術期のD-FLOTが、8月13日からDPC病院でも入院で実施できるようになりました。6月の承認時点では算定の扱いが決まっておらず、入院で組めない状態が2か月近く続いていました。実施できるようになったので病棟のタイムテーブルを引いてみたところ、1泊2日では収まらないことが分かりました。算定区分と支持療法の置き場所にも面倒な点があるので、検討した内容を整理しておきます。
8月13日に算定が動いた
令和8年8月12日付の保医発通知で、DPCの包括評価から外れて出来高で算定できる薬剤の一覧、いわゆる五号告示の別表1が改正されました*1。デュルバルマブの適応症に「胃癌における術前・術後補助療法」が加わっています。別表1に載った薬剤を使った患者は、その診断群分類の包括評価の対象外になります。6月19日の承認から8月12日までのあいだ、DPC病院は入院でD-FLOTを組めませんでした。承認された薬が2か月近く入院で使えない状態がふつうに起きます。
MATTERHORN試験のレジメンでは、デュルバルマブが4週ごと、FLOTが2週ごとに入ります*2。同じレジメンの同じ入院でも、デュルバルマブのある回は出来高、ない回は包括になります。1回おきに算定区分が入れ替わります。
点滴が日勤帯に収まらない
投与時間はデュルバルマブが60分、ドセタキセルが60分、オキサリプラチンとホリナートの併走が120分です。単純に足せば4時間ですが、あいだに生食フラッシュを挟み、投与開始15分後のバイタルを取り、過敏反応を見ながら次に進むので、5-FUの持続静注を開始するまでで6時間近くかかります。当日入院ではその前に外来採血と結果確認、実施可否を判断する診察も入ります。当日入院の2泊3日で組むと次のようになります。
| 時刻 | Day1 | Day2 | Day3 |
|---|---|---|---|
| 8:30 | 外来で採血 | ||
| 9:30 | 外来診察でケモ確定 | 奇数回はペグフィルグラスチムを打って退院 | |
| 10:00 | 入院 | ||
| 11:00 | デュルバルマブ(奇数回のみ) | ||
| 13:00 | ドセタキセル | ||
| 14:00 | オキサリプラチン+ホリナート | ||
| 16:00 | 5-FU 持続静注 開始 | 5-FU 抜針 |
偶数回はDay3に退院して、その翌日に外来でペグフィルグラスチムを打ちます。5-FUは2600mg/m²を24時間かけて入れるので抜針は翌日の夕方になり、点滴の開始から数えるとルートは30時間近く塞がったままになります。これを8回繰り返すので、末梢から毎回行うのは無理があり、術前化学療法の段階でCVポートを置くかどうかを外科と決めておく必要があります。
前日の午後に入院して採血まで済ませておけば、翌朝10時から始められます。
| 時刻 | Day0 | Day1 | Day2 | Day3 |
|---|---|---|---|---|
| 14:00 | 入院、採血 | |||
| 9:00 | ケモ確定 | 奇数回はペグフィルグラスチムを打って退院 | ||
| 10:00 | デュルバルマブ(奇数回のみ) | |||
| 12:00 | ドセタキセル | |||
| 13:00 | オキサリプラチン+ホリナート | |||
| 15:00 | 5-FU 持続静注 開始 | 5-FU 抜針 |
2泊3日は日勤帯に収まるものの、朝の点滴開始を急がせることになるので病棟の負担が大きくなります。3泊4日は1時間の余裕が生まれるかわりに、入院が1日伸びます。
ペグフィルグラスチムをどこで打つか
薬価はバイオシミラーで54,924円と55,680円、先発品で77,753円です*3。包括評価の入院で打てば、まるごと病院の持ち出しになります。8回のうち4回でこの額の赤字を作ることになるので、入院で打つ選択肢は実質的にありません。
デュルバルマブのある回は出来高なので、退院日に打って帰ってもらえます。ない回はそれができないため、退院した翌日にもう一度外来へ来てもらうことになります。同じ治療の同じ支持療法なのに、回によって通院が1回増えます。
一次予防そのものが要るかどうかを検討する余地はあります。使わずに済めばスケジュールは単純になります。ただし術前化学療法で発熱性好中球減少症を起こすと手術の日程に影響します。手術が遅れるリスクを取るよりは、通院1回分を引き受けるほうがましだと考えています。
入院日数と通院回数のどちらを取るか
病棟の日勤帯を守るなら前日入院の3泊4日で、入院日数が1日伸びます。患者さんの通院回数を減らすなら、支持療法を回ごとに入院と外来へ振り分ける手間を病院側で引き受けます。算定区分をそろえたいなら全例をCVポートで外来実施に寄せる手もありますが、化学療法室の占有時間が長くなり、自宅で抜針できない患者さんはday1・day2・day3と3回来ることになります。
現時点では、夜勤帯に持続静注を開始しないことを優先して、当日入院の2泊3日を第一案にしています。確定には院内のレジメン審査委員会の承認と、CVポート造設の時期を外科と詰めることが要ります。ペグフィルグラスチムの一次予防を続けるかどうかは、数例回してから決めます。
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*1 「厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法第一項第五号の規定に基づき厚生労働大臣が別に定める者について」の一部改正について(保医発0812第3号、令和8年8月12日) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001737742.pdf
*2 Perioperative Durvalumab in Gastric and Gastroesophageal Junction Cancer. N Engl J Med 2025;393:217-230(PubMedより取得) https://doi.org/10.1056/NEJMoa2503701
*3 薬価基準収載品目リスト(令和8年8月13日適用)注射薬 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/xls/tp20260813-01_02.xlsx
更新日:2026-08-24 閲覧数:16 views.