ASCO GI22 楽しみ演題リスト
ASCOの消化器領域分科会バージョンとも言えるASCO GI22が本日から開催されます。公式サイトやSNS(Twitter)などでASCO GI 2022 (#GI22)に関連する楽しみな演題を探してメモしておきます。
10年ほど前までなら海外学会情報はなかなか聞くことができませんでした。日経メディカルなどの特集ページを見るかメーカーの営業担当者が自社製品に関する演題のパンフレットを持ってくるのを待つか、数ヶ月後にどこかのホテルで実施されるセミナーに東京の偉い先生が講演に来てくださるまで待っていなければ情報を手に入れること自体が難しかったのです。ちなみに、ASCO GIが初めて開催されたのは2004年だそうです。
でも、今はSNSで世界中のオンコロジストたちが思い思いに自分の興味があるテーマの話をしていて情報収集もしやすくなった。良い時代になりましたね。
気になる演題リスト
JCOG1018(RESPECT)
75歳以上のPS 0-2または、70〜75歳のPS 2の大腸癌の高齢者に対して、FOLFOX/CAPOX+BEVとFL/cape+BEVを比較した試験。
若年者ではもちろんFOLFOX/CAPOXが標準的ですしMSI-HなどOX上乗せの重要性が特に強調されるサブタイプもありますが、一方で高齢者に対して低侵襲なレジメンの選択肢としてOXを省略したFLやcapeにベバシズマブを併用する治療はガイドラインにも掲載されており一定の市民権を得ています。
今回のこの試験は、高齢者ではOXを省略可能であることの裏付けの一つになるように思います。当初はNCCTG(North Central Cancer Treatment Group)と共同で臨床試験を進めていたものの症例集積が難渋して最終的にはJCOGで試験を完遂されたようです。
#GI22 Oral Abstract Session abstract
— JCOG (@JCOG_official) January 19, 2022
「JCOG1018: 高齢切除不能進行大腸癌に対する全身化学療法に関するランダム化比較第Ⅲ相試験」の最終解析結果が発表されます。
🔎https://t.co/T2PGxcECaF#JCOG #大腸癌 #大腸がん #高齢者
JCOG1213
NEC(神経内分泌癌)はプラチナベースの治療が重要であることはNECがNETと明確に分けられる前の時代から言われていましたが、シスプラチンのベストパートナーはイリノテカンなのかエトポシドなのかというclinical questionが長らく言われていました。派手さはないけれど日常臨床判断への影響は非常に大きい試験です。
#GI22 Rapid Abstract Session abstract:
— JCOG (@JCOG_official) January 19, 2022
「JCOG1213:消化管・肝胆膵原発の切除不能・再発神経内分泌癌(NEC)を対象としたエトポシド/シスプラチン(EP)療法とイリノテカン/シスプラチン(IP)療法のランダム化比較試験」の最終解析結果が発表されます。
🔎https://t.co/sZw12ZNAM9#JCOG #NEC
GERCOR NEONIPIGA試験
胃癌では一次治療から免疫チェックポイント阻害剤が使えるようになってますますMSI検査を提出する必要性を感じにくくなってしまいましたが、それでもこのMSI-Hに対する複合免疫療法の爆発力はすごい。
MSI胃癌の術前イピニボでpCR率59%。EUSでusT3が一番多いのでそう小さい胃癌でも無さそうだが、すごいpCR率。10年くらい先にはII/III期の胃癌でも手術省略できるような時代が来るんかしら… 第2相GERCOR NEONIPIGA試験
— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) January 19, 2022
/ASCO #GI22 https://t.co/5fsM4wlMZ8
JCOG1202
胆道癌の術後化学療法としてはカペシタビンが一定の成績を示していましたが、本邦ではS-1の方が使われやすく、結果が長く待ち望まれていました。
#GI22 Poster Session abstract
— JCOG (@JCOG_official) January 19, 2022
「JCOG1202:根治切除後胆道癌に対する術後補助療法としてのS-1療法の第III相試験」のデータを用いた、大量肝切除が術後補助化学療法の忍容性に与える影響の検討結果が発表されます。
🔎https://t.co/DAJLfYFoYg#JCOG #胆道癌
➡️JCOG1202https://t.co/RjpmNvty7I
JCOG1611
アブラキサンの供給停止問題で窮地に立たされた転移再発膵癌のFOLFIRINOXとGEM/nabPTXとS-IROXの比較試験。局所進行でのFOLFIRINOXとGEM+nabPTXの比較試験であるJCOG1407はASCO2021で発表されていましたが、こちらのJCOG1611は転移再発で、さらにS-IROXのアームも加わった3群比較です。臨床試験の募集自体が難しくなってしまって完全体のデータでないと思うけど、興味深いところ。
#GI22 Trials in Progress Poster Session abstract
— JCOG (@JCOG_official) January 19, 2022
「JCOG1611:遠隔転移を有するまたは再発膵癌に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法/modified FOLFIRINOX療法/S-IROX療法の第II/III 相比較試験」
🔎https://t.co/4MMO7WCMet#JCOG #膵癌 #膵がん
KRYSTAL-1試験
KRAS G12C変異妖精の大腸癌以外の消化器癌に対するアダグラシブの第1・2相試験。ソトラシブは特に膵癌においては奏効率が10%を切っていたのに対して、アダグラシブは症例が少ないながらも奏効率が50%で病勢制御率は100%と極めて良好のようです。
JCOG1109
食道癌は術後化学療法にニボルマブが入ってきましたが、日本は海外と術前標準治療が異なっていた経緯があって海外のエビデンスが国内でもそのまま当てはまるのかという疑問が常にもたれていました。このJCOG1109試験は食道癌の最適な術前化学療法は何かという疑問に大きなヒントを与えてくれそうです。
#GI22 Oral Abstract Session abstract
— JCOG (@JCOG_official) January 19, 2022
「JCOG1109:臨床病期IB/II/III食道癌(T4を除く)に対する術前CF療法/術前DCF療法/術前CF-RT療法の第III相比較試験」の主たる解析結果が発表されます。
🔎https://t.co/didtqmfWBV#JCOG #食道癌 #食道がん
TOPAZ-1試験
進行胆道癌のGEM+CDDPに対するデュルバルマブの上乗せ試験。なお、OSが有意に延長することは11月の時点ですでにアストラゼネカのプレスリリースで公表されていました。
Durvalumab Plus Gemcitabine/Cisplatin Improves Survival in Patients With Advanced Biliary Tract Cancer: TOPAZ-1 https://t.co/uqlfl2tb8a #hpbcsm #oncoloy #cancer #GI22
— The ASCO Post (@ASCOPost) January 19, 2022
HIMALAYA試験
肝細胞癌に対する抗PD-L1抗体(デュルバルマブ)と抗CTLA-4抗体(トレメリムマブ)の併用療法を検討したHIMALAYA試験。肝細胞癌は免疫チェックポイント阻害剤の併用を含む複合療法の戦国時代になっていますが、このHIMALAYA試験も加わって抗CTLA-4抗体まで参戦することになります。
New data from our HIMALAYA Phase III trial were presented at @ASCO #GI22, demonstrating unprecedented three-year survival rates. These results set a new benchmark as an innovative approach to unresectable HCC, the most common type of liver cancer. https://t.co/3kik5Rmc7s pic.twitter.com/9Hn5BRdDdC
— AstraZenecaUS (@AstraZenecaUS) January 18, 2022
他にも何か面白そうな話があれば、適宜追加します。
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更新日:2022-01-20 閲覧数:1315 views.