レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2023年 / 1月15日

消化器病学会総会ポストグラデュエイトコースの感想メモ

学会

2022年度の消化器病学会総会ポストグラデュエイトコースを受講したのでその感想のツイートを記録しておきます。

あわてて昨年総会の「ポストグラデュエイトコース」とかいう教育動画を見ている。Webで受講できて良かったわ、コレ(Web受講)がなかったら消化器病専門医の更新ができず資格喪失するところだった。あぶねー!

— レ点🧬 (@m0370) January 14, 2023

生命医学系指針の新指針

生命医学系指針の新指針では、多施設共同研究の倫理審査は各研究機関の倫理委員会で審査するほかに代表機関で一括審査"してもよい"のではなく、"原則1研究1審査"になっているのか。各病院の倫理委員会で個別に審査するのは旧指針が残る移行期間は可能だが、将来的には対施設研究も一括審査になる。

つまり大学病院が主導している研究に協力機関として参加する場合は、今までは各協力病院の倫理委員会でもそれぞれ審査していたけれど、今後は中央の倫理委員会で一括審査すれば各協力病院は倫理審査ではなく研究参加申請だけをすることになる。たしかに1研究でいくつも倫理審査するのは非合理だもんな。

今までも中央一括審査の研究はあったけど、ミーティングすると参加病院の幾つかは「うちは中央審査を認めていないので別個で当院の倫理審査にかけます」と言っている病院があって、でも今後は(その旧指針のやり方に代わって)新指針の中央一括審査方式が主流になるべきということか。

なんとなく「個別審査が主流で、各施設の負担軽減のために中央一括審査というオプションも可」なのかと思っていたので、「個別審査という旧指針型オプションは移行期間中は許容するが、原則1研究1審査で新指針型の中央一括審査方式が本来あるべき姿」というところまで進んでいるとは認識していなかった。

クローン病に対するインフリキシマブとインテグリン抗体薬の歴史

ん?クローン病へのインフリキシマブの初回投与の症例報告(オランダの12歳少女の著効例)が1993年Lancetってことは、乳癌トラスツズマブの最初の15人への投与が1992年12月頃だから、悪性腫瘍と免疫疾患の分子標的治療の登場はほぼ同時期なのか。

Tumour-necrosis-factor antibody treatment in Crohn's disease - PubMed
Tumour-necrosis-factor antibody treatment in Crohn's disease
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8101267/
世界で初めてインフリキシマブがクローン病に投与された症例報告 - レ点腫瘍学ノート
クローン病に対して世界で初めて抗TNFαモノクローナル抗体が使用された12歳少女の症例報告が、1993年に医学雑誌Lancetに掲載されました。Tumour-necrosis-factor antibody treatment in Crohn's disease - PubMedTumour-necrosis-factor a
https://oncologynote.jp/?98b5667872

これが初めてクローン病に対してインフリキシマブが投与されたLancetのレターらしい。メサラジン、チオプリン、プレドニゾロンなどが効かなかった難治性12歳少女にたった2回の投与で体重は3.2kg回復、CDAI(炎症活動の指標)は311→85へ改善。https://t.co/IXAAbChEyu pic.twitter.com/ykQbBLYRyb

— レ点🧬 (@m0370) January 14, 2023

リンパ球に発現する接着因子の分子標的治療開発の話は面白いな。α4インテグリン抗体ナタリズマブがクローン病薬として有望視されていたが、脳のリンパ球ホーミングを抑制するためにJCウイルス脳症を惹起し、開発が中断した。(現在米国では多発性硬化症の治療には用いられる)

Progressive multifocal leukoencephalopathy after natalizumab therapy for Crohn's disease - PubMed
The prior diagnosis of fatal astrocytoma in a 60-year-old man with Crohn's disease treated with natalizumab, a monoclonal antibody against alpha4 integrins, was reclassified as JC virus-related progressive multifocal leukoencephalopathy (PML). Analysis of frozen serum samples showed that JC virus DN …
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15947080/

その後、腸で活動するリンパ球の接着因子だけを抑制する分子標的の開発が模索され、α4β7インテグリンやその結合相手方MAdCAM-1は腸管特異的にリンパ球ホーミングを抑制することが発見された。それに対する抗体が今よく使われるベドリズマブである。

講師の先生、けっこう話が脱線して面白いな。JAK阻害剤のヤヌスはローマ神話で前向きと後ろ向きの2つの顔を持つ双面神で神話の世界では門番をしていて、1月のJanuaryもこのヤヌスに由来して、ってすごいポロポロ脱線話が出てきて、とてもよい。

なんで双面神かというと、JAKは上流のインターロイキン受容体と下流のSTATの両方をリン酸化できるから。4つのJAKと6つのSTATの組み合わせで多種多様な作用を持ち、色んな顔を持つのでローマ神話のヤヌスとそっくりらしい。そっくりかな…そっくりか。。。

オンコロジーに関係しないテーマの教育講演なんて単位を餌に強制されないと絶対聞くことないだろなと思っていたけれど、聞き始めてみるとわりと面白いなこれは。m3で毎日やってる企業のCMみたいなWebinarよりか面白いかもしれん(そういうこと言わない)。

— レ点🧬 (@m0370) January 14, 2023

この記事に対するコメント

このページには、まだコメントはありません。

お名前:

更新日:2023-01-15 閲覧数:410 views.