レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2022年 / 3月16日

日本循環器学会のツイッタールール

学会 SNS 広報 コミュニケーション

今年も日本循環器学会が開催されたようです。例年通り、今回もSNSの活用が印象的でした。

ぼくは日本循環器学会の会員ではありませんが、毎年TwitterなどのSNSを非常に上手に活用していて、日本循環器学会の活動には普段から注目しています。

日本循環器学会のツイッタールール

会期の始まる前に流れてきたツイッタールールがまず先進的です。

#22JCS ツイッタールール】
✅スライド撮影ツイートは公式サポーターが事前許諾得られた演題のみ
✅スライド撮影なしテキストツイートは「どなたでも」🆗

以下のツイートは控えて下さい。
🈲症例など個人情報を含む内容
🈲審査や研究助成発表内容
🈲企業共催発表の具体的な内容

by 情報広報部会長

— 日本循環器学会 情報広報部会 (@JCIRC_IPR) March 10, 2022

このように学会公式アカウントが表明していることで、参加者たちは個人情報などに抵触しない範囲で積極的に自分達が発表した内容や聴講した内容をSNSなどのインターネットに拡散することができます。

JCS 情報広報部員および協力員のツイッター利用 10 原則

もともと日本循環器学会は2019年に日本循環器学会ツイッター利用指針なるものを定めています。その中にはこのような記載があります。

  1. JCSを代表する立場でツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は閲覧者に有意義な情報を、誤解を招く曖昧な表 現は避け正確な内容で、公認アカウント@JCIRC_IPR で、あるいはJCSが定め るハッシュタグを明記して、JCS を代表する立場としてツイートする。
  2. JCS学術集会・地方会で重要なスライドをツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は JCS 学術集会・地方会において、発表におけ る結論や重要なスライド・画像を、公認アカウント@JCIRC_IPR で、あるいは JCS が定めるハッシュタグを明記してツイートする。
  3. 学術的な内容をツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は、論文やガイドラインなど学術的な根拠がある 内容をツイートする。学術的な根拠に乏しい意見の分かれる内容や営利企業の宣 伝・広告に繋がる内容はツイートしない。
  4. 第三者のツイートで有意義なものを情報広報部員・協力員がリツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は、JCS や閲覧者にとって適切な内容を含む第 三者のツイートを、必要に応じて公認アカウント@JCIRC_IPR で、あるいは JCS が定めるハッシュタグを明記してリツイートする。
  5. 不利益を有するツイートをしない
    JCS 情報広報部員および協力員は、ツイートすることが他者への不利益を有する
    と思われる場合はツイートしない。
  6. 著作権に配慮してツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は、画像等コンテンツや JCS 学術集会・地方会
    の発表スライド内図表を用いる場合、著作権に配慮してツイートする。
  7. 批判的なツイートをしない
    JCS 情報広報部員および協力員は、個人的見解で批判的なツイートをしない。
  8. 他者の権利に配慮してツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は、JCS 学術集会・地方会において発表者のス
    ライドをツイートする場合、発表者が明らかになる形でツイートする。
  9. ローカルでの投稿による世界的影響を意識してツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は、日本国内では正しい内容であっても別の国で
    は不正確あるいは違法となる可能性があることを意識してツイートする。
  10. インターネットの恒久性を認識してツイートする
    JCS 情報広報部員および協力員は、ツイートした内容は削除しても記録として恒 久的に残ることを意識し、文字制限などで内容を正しく伝えられない場合には、 正確な記載のある場所へのリンクを用いてツイートする。

いずれも医療者がSNSを利用する上で当たり前と言えば当たり前のことばかり書いてあるのですが、しかしこれを明文化してしっかり守ることを会員にも周知しているのはきっちりとした理想の姿勢でしょう。

特に、有意義なスライドを学会が指定するハッシュタグをつけてツイートすることや、他者がツイートしたもので有意義とも思われるものは積極的にリツイートするようにと明記してあるのが、Twitter慣れを感じさせます。

日本循環器学会は2019年時点で既に、事前に9割の発表者にSNSなどインターネットでの二次利用を行うことも含めて利用の承諾を得ているようです。個人情報や企業共済セミナーの未発表内容を除けば、学会活動は知識を普及させて医療水準の向上に資するためのものですから、この活動は非常に正しい方向性のものだと思います。

英語文献からの引用や転載の権利関係 - レ点腫瘍学ノート
引用とは?転載とは?論文のFigureやTableの引用は認められるかOpen Access JournalではCreative Commonsで認められるケースもある学会のスライドの写真撮影引用とは?転載とは? 引用と転載は似ているが異なるものである。著作権法上は、私的使用目的に限らず「公正な慣行に合致するものであ
https://oncologynote.jp/?9b5daebc40

日循サポーター

Twitterで #22JCS のタグを辿ると、プロフィールに「日循情報広報部会協力員(サポーター)」と入れてる参加者が結構いるんですね。どうやら、これは学会から依頼が来て了承すると任命される仕組みのようです。任命された人は、Twitterのプロフィールに日循情報広報部会協力員(サポーター)と明記するルールになっているようです。

でも学会から依頼が来るということは誰か学会の中枢にいる人が無数の循環器系Twitterアカウントを見極めて推薦しているというこtになりますが、どうやらそのアカウントを見定めて就任依頼をするというアクションには広報部会長の岸先生が多大な影響を発揮されているようです。やはり、日本循環器学会の要職に相当なツイ廃がいるということが強みのように見えてきました。

学会が目指しているSNSの理念を理解して、「良い広報」をするために協力してくれるサポーターが沢山いるのはいいですね。

日循のうまいところは #jcs2020 開催前に会員のツイ廃たちに「日循サポーター」とかいうそれっぽい肩書きを与えてSNSとの橋渡しに活用したことよな。学会幹部が直接ツイートしなくても、広告会社に予算を投入しなくても、ツイ廃会員を"その気"にさせて無償で上手に広報に活用してる。 https://t.co/LysP34BY5v

— レ点🧬 (@m0370) August 1, 2020

Twitterが活性化すれば学術成果そのものの注目度も高まる

なお、論文を紹介するというツイートを拡散することで論文の読者・閲覧者が増えるという発表もあるそうです。このようなデータもあることから、日本循環器学会が自分達の活動をSNSに積極的に流すよう促すのは学会のプレゼンス(存在感)を高めるのにも寄与していそうですね。

ちょうどまたTwitter関連論文がPublicationされました【まさに今!!】

超簡単に言えば、
👉Tweetすると、論文の閲覧数が増えるぜ!
ってことです(当たり前か 笑)https://t.co/ya4KjyfzT8

引き続きご指導のほどよろしくお願いします!! pic.twitter.com/J08rNmTRNo

— 水野篤@心臓の医者✨✨ (@atmizu) March 11, 2022

この手の活動は海外学会では盛んで、特に米国臨床腫瘍学会(ASCO)は学会内容についてのツイートを促すだけでなく、その影響力を計測してランキングを発表したり、オンコロジーツイッタラーたちの団体が学会会期中のハイライトなどを動画にして公開したりしています。

The @OncoAlert 🚨 @ecancer RoundUp#GU22 Edition Days 1⃣&2⃣
Best@weoncologists 🤠@DrChoueiri @apolo_andrea @neerajaiims @PGrivasMDPhD @amerseburger @TiansterZhang @HHammersMD @Martin_AngelMD @AmerCancerCEO @montypal @AzadOncology @DrNicolasHart @AarmstrongDuke @zklaassen_md pic.twitter.com/IPelaavro0

— OncoAlert (@OncoAlert) February 19, 2022

最近の学会活動はどの領域でも「学会会員だけにアプローチするのではなく、いかに会員以外の一般医師や非医療者の市民に情報を伝達するか」ということも重要になっていますので、この観点からも日本循環器学会の姿勢は非常に参考になります。

JSMOが日循と同じことをやるには、圧倒的にオンコロジーツイッタラーの数が足りないのよな…。
学会参加者はたぶん1:3くらい(JSMOが6000人くらい)いると思うけど、Twitterでは #22JCS は900人で1.2万ツイート。#JSMO2022 はたぶん数十人でツイート数も3桁止まり。アクティビティの差を感じる。。。 https://t.co/vpHBN2Zuvv

— レ点🧬 (@m0370) March 14, 2022

ただツイートするだけではなく共感を得られるツイートを

一方でよりナラティブな問題も軽視はできません。正しい情報を広げてゆくには、その内容の化学的妥当性だけでなく、その情報を伝達する人の態度や口振りも重要でしょう。

Twitterをやるときの重要な注意点の一つとしては1ツイート140字をちゃんと読んでくれる人はそんなに多くないし、スレッドをすべて読む人は少ないし、リンク先をすべて読む人は極わずか、ということ。

— Sukuna (@SukunaBikona7) March 14, 2022

家族には医療関係者がいないのだが、一般の人が【医療の正しい知識を持つ】ことが、どれほど困難かを感じる。

そもそも正しい知識と情報が社会に伝わる努力をする責任があるのは専門家側であり、一般の人に正しさを求めることが責任転嫁のようにも感じる。

— Ayako Shibata@LINEボットで妊娠や性相談 (@ayako700) October 21, 2018

新型コロナウイルス流行期にはたくさんの医クラが「正しい感染症対策の情報」の普及のために情報発信を行いました。

しかし、当初はTwitterでも広く受け入れられていたそれら医クラによる自主的な活動も、コロナ禍が長引くにつれて一部ではかえって反感を招いていたようにも思います。いかに正しい情報でも、いつもケンカ腰だったり上から目線でものを言うようなアカウントだと、いくらツイートを熱心にしてみても正しい情報の普及や学術領域の活性化には寄与しません。むしろマイナス方向の作用すらありえます。

その点でも、日本循環器学会の物腰柔らかで誰にでも優しい態度で接しているのは好感度が高い。前述のツイッタールールでも批判的ツイートをしないということを明記して、「感じ悪いTwitter」にならないように配慮しているのが素晴らしい点です。

学会公式アカウントというとどうしても生真面目でお堅くて公式情報のみを機械的にツイートするだけというものが少なくありませんが、日本循環器学会のやり方はそれらと一線を画しており、見ているだけでも非常に勉強になります。


この記事に対するコメント

このページには、まだコメントはありません。

お名前:

更新日:2022-03-16 閲覧数:997 views.