レ点腫瘍学ノート

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JSMO2021見どころ演題リスト

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いよいよ2021年2月18日からJSMO2021が開催されます。今年は初の完全WEB開催です。出張日程や帰りの新幹線の時間を気にせず目一杯参加できるので、プログラムの予習を兼ねて自分用の見どころマップを作りました。

なお、ぼくの興味は消化器系>>乳癌>他のがんに偏っているほか、免疫よりゲノム、大規模臨床試験よりはシステムや制度づくりや教育制度などに偏る傾向がありますので、それを踏まえてご覧ください。

第1日(2月18日木曜日)

初日は15:00開始なので演題数は少なめです。この日は午前中に仕事が入ってしまい、半日は聴講を諦めるつもりでいたので、午後からのスタートはラッキーでした。開会式では会長が挨拶されると思いますが、会員向けのメールで頻繁に「鬼滅の刃」ネタを混ぜ込んできていたので開会式でも何らかの鬼滅の刃絡みのアクションがあるのでは無いかと期待しています。

15:00

開会式。これまでのくどいくらいの案内メールのように鬼滅の刃に絡めてくるのか、そこが最大注目ポイントです。

16:00-18:00

JS1 日本癌学会/日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会 合同シンポジウム「がんゲノム医療に対する3学会の取り組み」は注目テーマです。可能性の広さもピカいちだけど色々課題満載なこの領域、いくら議論してもし尽くせないくらいの話題がありそう。

19:10-20:00

ES12 イブニングセミナー12「消化器がんにおけるプレシジョンオンコロジー:CGPの臨床的有用性(中外製薬)」はスポンサーが中外なだけにFoundationOne CDxの話に終始しそうではありますが、臨床的有用性というからにはこれをどう臨床に活かすのかという話がたくさん聞けるので、楽しみ。臨床に活かせないと検査をする意味がないですからねぇ…。

第2日(2月19日金曜日)

この日からが本番といったところでしょうか。今までもJSMOは夜にも軽食が出るセミナーを20時台まで開催していることはありましたが、8:00から22:30まで演題がびっしり敷き詰められているのは初めて見ました。特に終了時間が22:30というのはWEB開催だからこそできる(みんなが飲み会に行ってしまわないからこそできる)スケジュールです。

8:00-10:00

朝一番から大型のシンポジウムが7列という日程ですが、ここは会長企画シンポジウム1「Precision Oncology合同企画1」を選びます。演題を見ると、サイエンスとしての「医学」よりも制度や枠組み的などちらかというと「医療制度」の話題に重点がありそう?ここでの演題に肺癌・乳癌・婦人科癌が選ばれていますが、前立腺癌も入れてほしかったところ。

10:00-12:00

なぜか日中にぽっかりと演題が少ない時間帯があるのは伝統芸でしょうか。O1のEncore演題「Association of TMB With Efficacy of Pembrolizumab in Patients With Gastric or Gastroesophageal Junction Cancer」とO3-1「A phase II study on the efficacy of Nivolumab in patients with cancer of unknown primary (CUP) (NivoCUP)」が同じ時間なのでどちらを聴くか迷うところです。WEBなのでPCとiPadを並べて並行視聴というのもできるのか試してみる。O3-2がメラノーマのMONSTAR-SCREENで、これも聴く。

12:00-14:00

今回はランチョンセミナー的なものが12:00からの先発組と13:00からの後発組の2段構成です。リアル学会ならお弁当を2つ貰えそうな構成ですが、WEBなのでもちろん弁当は各自調達です。MeS16のオンコマインか、MeS18かなあ。

14:00-16:30

この時間帯が一番過密です。

まずPS1 Presidental Session 1があり、これは本来なら国立京都国際会館のメインホールで開かれていた演題ですが、ASCO2021で発表されたMSI-H大腸癌に対するKEYNOTE-177のアジアンコホートの結果のようです。

そしてO4「TR・遺伝子プロファイリング・ゲノム医療」は同じく本来なら国立京都国際会館のさくらホールあたりの大広間で開催されていたと思いますが、事実上のSCRUM-Japan MONSTAR-SCREEN部屋。MONSTAR-SCREENは日本で最も精力的に活動しているTR研究グループだと思いますが、その内実の情報はあまり外にいる人が聞けるチャンスがないので、今後の勉強のために聞いてみたいです。

そしてO7「臓器横断プログラム・がんゲノム医療」。先の2つがメインホールとさくらホールなら、このセッションは国立京都国際会館の半地下のEホールか中2階のDホールに割り当てられていた気がします。あの半地下と中2階の構造は国立京都国際会館に不慣れの人が迷いがちなエリアです。本館側から小川(岩倉川)にかかる渡り廊下を超えてイベントホール・ニューホールがある別館のポスター会場に向かおうとしたのに道に迷って何故かEホールにたどり着いてしまったという経験を持つ人は少なく無いはず。

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このセッションは薬剤部やゲノム医療支援室などの支援部門の方々の発表があり、がんゲノム医療体制づくりの苦労話が聞けそうなので、こういう現場の生の声が聞ける機会は案外貴重です。

実はこれら大型の口演の裏で面白そうなミニオーラルもあって、MO1-6の免疫療法関連腸炎の腸内細菌叢研究は興味あります。腸内細菌叢研究はぼくは大学病院にいた頃にちょっと手を出そうとしてあまりに難しくて諦めてしまったので、細菌叢研究の実験系を作るのがめちゃくちゃ大変なのは知ってて、このジャンルで学会発表されているだけでもう尊敬の眼差しになってしまうのですが…。

15:40-17:40

SY16「乳癌治療におけるDe-escalationを考える」も興味深い。治療を強化する方向の研究は、需要も大きく、スポンサーも集まりやすいのに対して、De-escalationは重要なテーマであるにもかかわらず研究が進みにくい分野なので、少ないエビデンスからどういう考え方を見つけ出すのか興味あります。

17:40-19:30

夕方のスポンサードセミナーも1時間のコマが2段構成。ちょっとスポンサードセミナーが多すぎるような気はしますが…。

ES25「制吐療法 up to date 世界のガイドラインを考える」については、世界のガイドラインと比較しながら考えるというポイントが目を引いて、実臨床にも近いテーマになりそうなので、(スポンサーの大鵬が制吐剤販売の一角を担う大手なのでバイアスに注意しながら)聞いてみたいと思います。

19:30-20:30

まだまだ夜は終わりません。19:30からは「Highlight of the Day 1」、とくにDay1は希少がん・原発不明がん部会、TR部会、臓器横断プログラム部会からのプレゼンターということでオタク気質が多い腫瘍内科医好みの話が聞けそう。

20:30-22:30

そろそろ体力的に厳しくなってくる頃かもしれませんが、演題はまだあります。20:30からはSY17「切除不能再発胃癌に対する免疫療法の現状と展望」、SY21「膵癌周術期治療の最前線」、SY18「災害時にがん患者をどう支えるか」など面白そうなテーマが並んでいます。胃癌はKEYNOTE-062やCHECKMATE-649のような実用化間近の免疫療法ではなく、もう少し先の現在研究段階のことがらの演題が多そう。BR膵癌の治療はキャンサーボードで話していても意見が分かれがちの領域で、しかも絶対王者級のエビデンスがないために様々な考えが乱立している状況で、どうやって話をまとめるのか興味あり。

でも、朝8時から14時間ぶっ続けで流石に集中力がダメになってるかも。

第3日(2月20日土曜日)

土曜日なのでおそらく参加者数が最も多い、当然演題数も一番多い、プログラムはJSMO史上最長と思われる7:00-23:00まであって体力的にも一番きつい1日です。

7:00からのモーニングセミナーはパスします。体力温存…

8:00-10:00

SY22「がん種横断的薬剤開発・承認 がん精密医療における新展開」が気になります。臨床側からの意見だけでなくPMDA側からの意見も聞けるのが普段の講演会などとは違う点。

同じ時間帯の専門医部会企画「症例から読み解くがんゲノム医療」も気になります。専門医部会企画は毎年よくできていて、参加者のみんなに勉強になるようにと練られた内容なので結構おもしろく隠れファンも多いのです。今年はがんゲノム医療がテーマですが、がんゲノム医療の内実はエキパネを開催する中核拠点病院によって結構雰囲気が変わるようですので、他の地方でどういう雰囲気でやっているのか興味あります。

これと同じ理由で10:30-11:40のMO9「TR・遺伝子プロファイリング・ゲノム医療」もぜひ聞きたい。国がん、北海道、九大、有明、近大など様々な拠点病院からの発表が目白押しです。

このSY22と同時間帯にPSY3「Artificial Intelligence in Oncology and Therapeutics」というのもありますが、流石に同時間帯に3つのシンポジウムを同時視聴は無理かなあ。

11:00-13:00

この時間が一番ホットな時間帯。JS3「ゲノム医療における多職種の取り組み・Precison Medicineを担う人材育成」、O12「下部消化管(大腸癌)」、MO10「臓器横断プログラム・免疫療法」、SY26「肝細胞癌に対する新規薬物療法の導入と残された課題」、MO11「乳癌周術期」、MO13「希少がん・原発不明がん」など聞きたいテーマが山ほど集中している時間帯ですが、この時間はこれを差し置いてもPSY5「新専門医制度」を聞かねばならない気がします。田村研治先生のキレッキレのプレゼンテーションに期待です。同時間帯の他の演題はあとからオンデマンドで聞くことにしようかな…

13:30-15:30

昼休みはスポンサードセミナーがまた2段構え。MeS29のGuardantの「がん治療におけるリキッドバイオプシーの可能性」を聞こうかなぁ。これ、中外製薬は1社で同じ時間帯に大腸癌のベバシズマブと乳癌のアテゾリズマブで2本のセミナーをやってるんですね、さすが分子標的治療界の王者…。

(実はわが家の個人的な事情でこの時間帯に子どもをスイミング教室に連れてゆき、1.5時間後に迎えにゆくというdutyがあるので、ちょっとこの時間帯は手薄になると思います…。)

15:30-17:30

ここも忙しい時間帯になりそう。

Presidental Session 2の最後の1演題(PS2-5)がKRAS G12Cに対するAMG510の大腸癌の発表ですね。これは興味あり。しかしその直前(ほぼ同時間帯)のMO17-1「MEK inhibitor overcome AMG510 resistance signal and enhance anti-tumor effect in colorectal cancer cells」ではMEK阻害剤がAMG510耐性を克服する的なin vitroの発表もあるようですよ。

SP1特別企画「3学会ゲノムネット」は抄録を見てもちょっと漠然としているのですが、ひとまず臨床面・制度面などがんゲノム医療の課題を整理して情報共有しようというテーマのようです。これは座長が大変そうですね…ってここでも座長は田村研治先生。この日だけでシンポジウムの座長が3つでうち2つは発表付きのようです。すごい…

目立たないけどちょっと気になるのは同じ時間帯の裏番組「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」。特に16:05-16:45の第2部は「腫瘍内科医としてのキャリアパス、役割を考える」というテーマでいろいろな先生のお話を聞けます。数年前に高野利実先生のお話を聞いたのを覚えてるなー。今回は設楽紘平先生もお話しされるようです。ちなみに医学生・研修医のための腫瘍内科セミナーの第3部(ワークショップ)に限っては事前申し込み制です。

17:45-18:40

この時間はミニオーラル。MO20-4「FOLFOX or FOLFOX plus radiation therapy for locally advanced or metastatic esophageal squamous cell carcinoma」とMO22-4「Gemcitabine-based chemotherapy to advanced soft tissue sarcoma patients: relationship of dose and regimen with prognoses」を聞きたいのだけど、時間がちょうどかぶりそう。。

18:50-19:40

イブニングセミナーはES32に興味あり。今でこそパネル検査といえばFoundationOne CDxが一人勝ちみたいになっていますが、どこのパネル検査もイルミナのNGSが主力です。そのシークエンサーを作ってきたイルミナが自ら開発したパネルがTruSight Oncology 500。見る遺伝子数だけでなくDNAもRNAも見る欲張りな構成らしいですが、その実力はいかに…?

19:40-21:00

Highlight of the Day 2。1番演題数も多い日なので時間もたっぷりとってありますが、それにしてもハイライトだけで80分ってヘビーだな。この辺りには体力・集中力の限界と戦っているかも。

21:00-22:30

ハイライトが終わってもまだまだ学会は続く…。21:00からはPSY8「Precision Oncology合同企画 2」。4つの演題は胃癌・胃癌・胆道癌・肉腫と若干腹部腫瘍内科寄りではあります。さすがにもうお腹いっぱいになる頃でしょうか。血液腫瘍クラスタはこのあとも23:00までプログラムがあるようですが、固形がんクラスタはここでおしまいです…。ほんと、食事の時間も風呂に入る時間もほとんど無いな。オフ会どころじゃねぇ。残すところあと1日。。。

第4日(2月21日日曜日)

今までJSMOは3日間だったように思いますが、今回は本当に長丁場です。演題が集まらなくて困っているというのはいったいどこの話だったのか。

モーニングセミナーは当然のように7:00から始まっていて、リアル学会であれば無料で振る舞われるサンドイッチなどを貰いにフラフラと会場入りするところですが、今回は朝一はパス…。

8:00-11:00

SP2「新型コロナウイルス感染症下のがん診療・研究」もちょっと興味ありますが、O16 多職種連携プログラム・チーム医療のO16-3「がんゲノム医療中核拠点病院でがん遺伝子パネル検査を受ける患者・家族への支援の実態」も聞いてみたい。そして9:00からはSY32「個別化治療時代における術後補助化学療法」があります。中身は大きく分けてOncotype DXとCIRCULATE-Japanなどが取り上げられるようですが、ホットな領域なので是非聞こうと思います。

MO28-1「日本における腫瘍内科の現状と7年間での変化」、MO28-5「がんゲノム医療連携病院におけるがんゲノム医療体制の構築」をはじめとしてMO28 多職種連携プログラム・チーム医療も面白そうな演題が集まっています。JSMOは、こういう小さな腫瘍内科の草の根腫瘍内科医の取り組みにも光を当ててほしい。聞きます。

しかし同じ時間帯のMO26も面白そう。MSI-H胃癌の術後療法としてのS-1の有効性はどうなのか、胃癌二次治療でのRam+IRIは選択肢になり得るか…など。

11:30-12:30

この日は昼でHighlight of the Day 3です。面白そうな演題がたくさんあった多職種連携プログラム部会のハイライトもこの日です。ぜひ聞こう。

12:30-14:30

さすがにもうメディカルセミナーはいいよね。疲れたよね。NTRKの話なんてJSMOのランチョンセミナーでしか聞く機会がないかもしれないけど…。

14:25-15:25

MO31 膵臓癌のミニオーラルではMO31-6でPOLO試験のアジアンコホートの成績が出ているみたいですよ。といってもn=6のようですが。

14:50-16:50

そろそろ参加者がみんな疲れを隠せなくなってきた最終日のこの時間帯にガチ大物のPresidental Sessionです。SCRUM-Japan MONSTAR-SCREENの話、中核拠点エキパネ情報のアップデートなどが並んでいます。これは聞く。

16:30-17:30

もう今年のJSMOはこれでお腹いっぱいだろ…と堪能し尽くしたところに食後のデザートと言わんばかりのダークホースSY37「泌尿器がんのPrecision Medicine」が登場です。数ヶ月前までだったら注目しなかったかもしれないこの領域ですが、BRCAのコンパニオン検査としてのFoundationOne CDxが一躍最前線に躍り出たことで一気にホットなトピックスになりました。おそらくプログラムを組んだ人もこういう展開は予想していなかったでしょう。とりあえず目前の臨床に直結するので、これはコミットせざるを得ません。

17:40-18:00

ようやく閉会式です。みなさん、大変お疲れ様でした…。

こうやってプログラムを見ていただけでかなり疲れました。本番は本当に体力が持つのか若干不安ですが、非常に楽しみです。皆さんも4日間を楽しみ抜きましょう!

JSMO JSMO2021


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更新日:2021-02-15 閲覧数:2759 views.