レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2022年 / 3月4日

診療報酬改定2022

がんゲノム 診療報酬

令和4年度(2022年度)の診療報酬改定が告示されました。数ヶ月前からTwitter界隈で診療報酬改定の話が静かに盛り上がっていたので関心を持っていた方も少なくないかと思いますが、がん医療に関わる点についてここで少し取り上げてみたいと思います。

診療報酬改定内容の要旨はこちらにあります。
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906905.pdf

がん遺伝子パネル検査

がんゲノム医療関連では、がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)の点数算定要件が大きく変わっています。これはJSMO2022でも話題になっていました。

がん遺伝子パネル検査

PDFの243ページ。
今回も検査を実施するタイミングは今までと事実上同一で早期(一次治療前など)からの出検は認められませんでした。一方で、点数の算定の仕方は大きく変わっています。

病院が負債を抱えるリスクが大幅減

点数については、従来は検査に出した時点で8,000点、検査の結果説明時に48,000点を算定できるというルールになっており、医療機関への負担が小さくありませんでした。結果説明までは1.5〜2.0か月程度かかることがあり、この間に亡くなってしまったりDPC病院に入院してしまうと48,000点の部分が算定ができないのです。検査を出すには検査会社に先に46万円くらい支払っているので、8,000点しか算定できないとなると病院は残り全てを自腹を切って負債を抱えることになってしまいます。

実際、全国平均でおよそ9〜10%のケースで48,000点部分が算定できず、がんゲノム医療をやればやるほど医療機関は赤字になるという事態が続いていたので、JSMOなどがこの点についての改善を要望していました。

これが、今回の診療報酬改訂2022から検査提出時に44,000点と結果説明時に12,000点を算定できるようになりました。結果説明までの間に何十万円もの持ち出しが大幅に軽減され、医療機関側から見た「理不尽感」はかなり減りました。

結果説明部分はDPCの包括対象外になる?

もう一つ今回の診療報酬改定で気になる点があります。従来のがんゲノムプロファイリング検査は検査提出時も結果説明時もコードがD006分類、つまり検査の扱いになっていました。これはDPC入院中に検査を実施したり結果を説明したりすると8,000点や48,000点は包括に含まれてしまって病院がやはり損を抱えることを意味します。

しかし2022年4月からは、検査提出時のコードはD006で「検査」扱いなので44,000点部分には変わりはないのですが、今後はがんゲノムプロファイリング評価提供料の12,000点の部分はB011の「指導管理料」の扱いになっています。これは、DPC入院中にも包括外として算定可能ということではないかと想像しています。

実際には公的な解釈ソースで確認してみる必要がありますが、結果説明までの2ヶ月間に不慮の事情によって入院してしまっても病院の負担が軽減されるようになっているのかと考えます。

年度をまたぐとどう算定するのか?

ところで、これ、年度またぎはどうなるんでしょうね?まさか3月に8,000点で4月に12,000点しか算定できないということはないと思いますが…。
(現在、厚労省に疑義紹介中だそうです)

外来腫瘍化学療法診療料1

244ページ。
従来の外来化学療法加算1(600点)は外来腫瘍化学療法診療料1のイ(700点)になるようですが、算定回数は月3回までの上限がつきます。化学療法中に点滴日以外に受診した場合は従来は「通常の再診料」しか算定できなかったのが外来腫瘍化学療法診療料1のロ(400点)を週1回算定できます。

外来腫瘍化学療法診療料1

これはどういうことか。がん化学療法を受けている方が副作用など抗腫瘍薬点滴日以外に受診した際にも専門的な治療を要することが少なくありませんが、こういった対処技術が点数加算という形で評価されたと言えるでしょう。

外来を受診した場合は、がん化学療法中は様々な不測の副作用の発生による予定外受診があったり、予防的G-CSFの投与のために受診することがありましたが、これらはがん化学療法に関する専門的な知識を有する治療が行われているにもかかわらず、従来は普通の再診料しか算定できていませんでした。これが、受診のたびに週1回まで400点の加算が取れるようになり、専門的な診療が報われることになります。

放射線治療病室管理加算

放射線治療病室管理加算(治療用放射性同位元素)

245ページ。
放射線治療病室管理加算は従来は2500点でしたが、これが治療内容によって密封小線源(2200点)と治療用放射性同位元素(6370点)に分けられました。後者の治療用放射性同位元素は神経内分泌腫瘍などで保険適用されたPRRT導入に向けたものですね。

PRRTは線量測定や遮蔽の手間があるのに薬剤費以外の入院基本料がほとんど付くことがなかったので、今までは医療機関にとって採算的には手出しすることを躊躇するものでした。しかし、これでなんとか点数が付くようになり、PRRTの導入に前向きになる施設が増えそうです(9000点くらいないとペイしないようですが)。今後、前立腺癌でも類似の治療が保険適用される見込みで、普及を後押ししそうです。

外来栄養食事指導料

外来栄養食事指導料

悪性腫瘍の栄養管理に関する研修を終えた管理栄養士がいれば、がん患者に対する栄養指導で月1回260点が新設されています。悪液質は患者の生命予後にもQOLにも影響し、これ自体が治療介入すべき病態の一つという認識が広まってきたのでしょうね。アナモレリンなどの悪液質をターゲットにした薬剤もありますが効果が今ひとつ信用できませんし、地道な栄養指導・食事改善といった王道で取り組みましょうという政府の意向が働いているのかも知れません?

さいごに

がん治療に関連する項目を中心に、診療報酬改訂2022の中身を見てみました。

追記

3月31日に疑義解釈が出ました。

診療報酬 先日診療報酬改定2022が発表されて、特にがん遺伝子パネル検査関連や外来化学療法加算から外来腫瘍化学療法加算への変更が大きかったためにTwitterでも話題になりました。#ogpi(https://oncologynote.jp/?8ac5d9a745)これに関していくつか疑義照会がされていましたが、その返事である疑義解釈

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更新日:2022-03-04 閲覧数:2078 views.