レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2020年 / 03月14日

【覚え書き】冠動脈疾患患者における抗血栓療法の周術期休薬

覚え書きです。

本当に、この手術時のヘパリンブリッジングってやめようよって思うんですよね。

結局、循環器内科医が何と言っても手術する外科医や麻酔科医が昔の慣習のままヘパリンブリッジングしてしまうのが現状。

一回ガイドラインベースで返信したらすごいめんどくさいことになったんよなぁ pic.twitter.com/yL4yKVAtIX

— Yuki Sahashi (@Yuki_Sahashi) March 13, 2020

2020年JCS ガイドラインフォーカスアップデート版冠動脈疾患患者における抗血栓療法

YouTubeでのガイドラインフォーカスアップデートに関する解説動画(約32分)。ガイドラインが改定されると改訂点について解説するレクチャー動画をアップする文化は良いですね。腫瘍系学会でも取り入れたら良いと思う(作成側の負担はかかりますが)。

2020年JCS ガイドラインフォーカスアップデート版冠動脈疾患患者における抗血栓療法
https://www.youtube.com/watch?v=C8ZyzN89UKY
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周術期の抗血栓療法に関する扱いで、消化管領域では内視鏡的生検は「低リスク」、ポリペクトミーなどは「中リスク」に分類(上記の動画の27分頃)。

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ベアメタルステントではPCIから3ヶ月以降の手術を推奨。DES(薬剤溶出性ステント)の場合は6ヶ月以降を推奨(血栓性リスクが低ければ3ヶ月も妥当)。
PCIから1ヶ月以内はすべての分類の非緊急手術がclass III、つまり「No benefit」または「Harm」で推奨されない。

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出血リスクが許容される場合は、アスピリンは継続、P2Y12r拮抗薬(クロピドグレルなど)は術後24〜72時間以内に負荷投与の上で投薬再開。

ヘパリン置換は推奨されない方向

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ワルファリン(ワーファリン)服用患者に対する周術期ヘパリン置換(ヘパリンブリッジング)は、手術を受けるワルファリン服用中の心房細動患者をヘパリンによる代替療法を行う群と行わない群でランダム化比較したBRIDGE試験で両群間の血栓塞栓症に差はみられず、出血イベントはヘパリンによる代替療法群で有意に高率であったことから、心房細動ワーファリンのヘパリン置換は推奨されないという方向になっています。

心臓機械弁のワーファリンはまた別であり、こちらはヘパリン置換の有用性もあるようなので、これについては担当医と相談が必要です。

一方で、ワルファリンではなくDOACを服用している患者では、手術前は短期間の休薬で管理が可能であることから術前のヘパリンによる代替療法 は不要であると考えられます。

参考文献

2020年JCS ガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法

http://www.j-circ.or.jp/guideline/20200313_guideline.htm

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更新日:2020-03-14 閲覧数:3280 views.