臓器横断的固形がんのBRAF阻害剤承認
日本のがん治療分野では、最新の科学的進歩が絶え間なく実現されており、その一環として2023年11月24日、臓器横断的にBRAF変異陽性固形がん患者を対象としたダブラフェニブとトラメチニブの併用療法が承認されました。審査結果報告書はこちら。
根拠となるデータ
承認の根拠としてはMASTER KEYプロジェクトや患者申出療養(受け皿試験)NCCH1901のデータなども参照されているようです。また海外の最も大きなデータとして単群第2相ROAR試験のデータも重要な根拠になっており、これがレジメン申請用資料として使えそうです。
第2相ROAR試験は多臓器の試験なので原発臓器によって異なりますが、全奏効率(ORR)が50%を超え、無増悪生存期間(PFS)は6ヶ月から12ヶ月、全生存期間(OS)は1.5年から2年という結果になっています。
Just in time for #AACR23 – the final results of the ROAR basket trial led by @VivekSubbiah @MDAndersonNews show that dabrafenib plus trametinib exhibited tumor-agnostic clinical activity in patients with rare BRAFV800E-mutated cancers.https://t.co/YXVZ4fMtX8
— Nature Medicine (@NatureMedicine) April 14, 2023
コンパニオン検査
この治療法の承認には、MEBGEN BRAF3 キットが2023年11月1日にコンパニオン診断薬として承認され、PCR法を利用してBRAF V600E遺伝子変異を検出します。同年11月30日からSRLでの受託解析も始まっているようです*1。
なお、BRAF V600Eを生じさせる変異で有名なのは2種類あるが(多くは1799のT>Aの1塩基変異、一部は1799_1800のTG>AAの2塩基変異)、MEBGEN BRAFキット3はこの両方ともを検出してくれるようです*2。
安全性・副作用
治療の安全性に関しては、特に注意が必要です。ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法は、他の分子標的薬と比較して独特の副作用プロファイルを示すことがあります。これには、ぶどう膜炎や心機能障害などが含まれ、治療開始前の適切なスクリーニングが推奨されます。
また、発熱や悪寒などの副作用は比較的多くの患者に見られ、これらの管理には特別な注意が必要です。特に発熱に関しては、症状が現れた際には休薬し、解熱後には再び同量での治療再開が可能です。これにより、患者の快適性と治療の継続性が保たれます。
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*1 https://www.srl-group.co.jp/assets/pdf/news/testing/2023-061.pdf
*2 https://ivd.mbl.co.jp/diagnostics/faq/mebgen_braf.html
更新日:2024-01-18 閲覧数:435 views.