レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2024年 / 5月27日

ASCO2024のSNS利用への取り組み

ASCO 学会 SNS

世界最大の臨床腫瘍学の学術集会であるASCO2024がまもなく開幕となる。腫瘍学の新しい臨床研究の成果の発表だけでなく、それらを通じたディスカッションの盛り上がりも非常に注目すべき点だ。トップリーダーたちが真剣に意見を交換し合う様子は見ているだけでも大変勉強になる。

ASCO2024が国内学会とは異なるもう一つの特徴として、非常に熱心にインターネットを利用していることが挙げられる。SNSをはじめとするソーシャルメディアの利用は国内学会の比ではない。

ASCOのソーシャルメディア利用

https://dailynews.ascopubs.org/do/follow-2024-asco-annual-meeting-social-media

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ASCOはソーシャルメディアの特設ページを開設しており、そこではX(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTube、LinkedIn等のASCOアカウントを紹介している。XではASCO本体のアカウント以外に、各種のASCO傘下ジャーナルのアカウント(JCO、JCOOP、JCOGOなど)や、CounquerCancerFoundationのアカウントも紹介されている。

ハッシュタグの利用状況はsymplurの解析ツールを閲覧すれば判定することができる。どれぐらいの人がそのハッシュタグで話題を投稿し、ディスカッションしているかを目に見える形で追いかけることが可能だ。最も影響力の大きいアカウントや、閲覧数の多いツイートを投稿したアカウントのランキングを一覧表示することもできる。

まだ会期が始まっていない5月27日の時点でも441人がASCOに関してのツイートをしており、その投稿数は1142にのぼる。閲覧数はなんと1000万を超えている。ASCO本番が始まれば、この数はさらに何十倍かに膨れ上がることは間違いない。

#ASCO24 - 2024 ASCO Annual Meeting - Social Media Analytics and Transcripts
The 2024 ASCO Annual Meeting is the most significant gathering of oncology professionals worldwide, making connections and forging collaborations that can
https://www.symplur.com/healthcare-hashtags/asco24/

テーマ別ハッシュタグ設定

各臓器別のハッシュタグをずらりと並べて、それぞれの参加者の関心領域に応じて「集合場所」を定めている。ASCOの会期中はこのハッシュタグで検索して「集合場所」を訪れれば、共通の関心を持つオンコロジストとディスカッションを深めたり、情報収集を効率的に行うことが可能となる。

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また #ASCODailyNews のタグを利用すれば、その日の注目演題やハイライトの情報をタイムリーに集めることも可能だ。2024年ASCO年次総会の情報を得るには、am.asco.orgとXの@ASCOが最適であるとASCO公式が明言している。これらのサイトやアカウントをフォローすることは、年次総会の期間中、常に参加し、終了後に見逃した情報をキャッチアップするための重要な方法だ。

独自ブログメディア

https://dailynews.ascopubs.org/do/optimize-your-asco24-meeting-experience-tips-trainee-early-career-and-seasoned

ASCO年次学術集会が近づいてくるとASCO daily newsの投稿も当然活発になるが、こういうブログ的な記事でもさまざまな企画を紹介したりASCOの見どころ・楽しみ方を伝えたりしているのよな。SNSやYouTubeだけでなく、こういう独自ブログメディアを持っているのもASCOの強みだと思う。

独自のWEBニュース媒体やブログメディアを持っているという点でASCOは強い。欧州代表のESMOはそういう取り組みは弱い。日本国内の学会つまりJSMOやガンチにはそういうWEBニュースやブログという取り組みがそもそも全く存在しない。

Podcast

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https://dailynews.ascopubs.org/podcasts

ASCOのPodcastの歴史は古く、ソーシャルメディアが利用される以前、スマートフォンが普及する前のiPodが流行していた頃からすでにASCO Podcastは存在していたが、現在も続いている。ASCOの会期中は注目すべき演題のKey AbstractやHighlightを紹介している。

Featured Voices

Announcing the 2024 ASCO Annual Meeting Featured Voices! Follow along for a range of expert insights & join the discussion using the official hashtag: #ASCO24 ⤵️ pic.twitter.com/rHRbDuhm4R

— ASCO (@ASCO) May 23, 2024

ASCO会員の有志が「Featured Voices」というボランティア解説者の任務を任されており(実際には専任されている人たちの声を聞くと一方的に任命されているようだが)、専門的な見地から様々な学会場の発表をわかりやすく共有してくれる。解説者たちは皆、Twitterアカウントを持っており、それぞれが会期前や会期中ずっと注目すべき演題についての情報を提供している。共に講演を聴き、学び、共有したいというコンセプトのようだ。各臓器別の腫瘍の専門家だけでなく、腫瘍疫学や臨床試験統計学に精通した専門家もいるようだ。

またこの解説者たちは一方的に情報を投稿するだけでなく、その投稿を見た参加者からの質問に回答したり、双方向的なコミュニケーションを楽しむこともしている。ソーシャルメディアを通じた交流を通して、学会を盛り上げ、会員たちの腫瘍学の発展への関与を促進している。これはちょうど2023年までの日本循環器学会で取り入れられていた「日循サポーター制度」にも近いものかもしれない。

ASCO TweetUp

As you plan your schedule for #ASCO24, don't forget to mark your calendars for the TweetUp! This event is a great opportunity to meet and mingle with friends and colleagues from social media.

📅 Join us Saturday, June 1, from 5:30-6:30 PM CT. pic.twitter.com/sytjI7vmq9

— ASCO (@ASCO) May 24, 2024

もう一つ、国内学会にはない取り組みとして、ASCO Tweetupがある。今年は6月1日土曜日の午後5時半からの1時間、オンコロジストたちが会場の1カ所(McCormick Place Regency Ballroom A)に集まって、互いに交流を楽しむという巨大合同オフ会のようなものをASCO公式がセッティングしてくれる企画だ。海外では医療者が実名かつ顔出しでSNSを楽しむのが普通になっているので、こういった交流会も抵抗なく参加しやすいのだろう。

様々な腫瘍学関連アカウント

会議中にASCOの情報を提供しているのは、公式アカウントだけではない。中央関連の様々な民間アカウント、公的団体アカウントなどがASCOの開催に合わせて非常にたくさんの情報を提供している。すべてのアカウントを網羅するのは大変だが、その中で代表的なものをいくつか紹介する。

OncoAlert

最も有名なのは、おそらくOncoAlertだ。普段から中央関連のニュースをインターネットで集めている人はこの名前を聞いたことがあるだろう。今回も注目演題を様々な観点からピックアップして紹介している。情報量の多さは圧倒的で、おそらくインターネット上での主要関連のアカウントとしては最大規模の活動を誇っている。

Dear Colleagues,
The @OncoAlert 🚨Network Presents OUR Picks of
TOP 🔟Abstracts to be Presented at #ASCO24 for #LungCancer 🫁

This List Curated by:#OncoAlertAF Leads : @BiagioRicciutMD 🇺🇸 @HHorinouchi 🇯🇵 @FernandoOnco 🇧🇷 @lungoncdoc 🇺🇸
& @weoncologists 🇺🇸

Faculty:… pic.twitter.com/yze0tiak9r

— OncoAlert (@OncoAlert) May 27, 2024

先ほどのFeatured Voicesとは異なり、OncoAlertも独自にAssociate Facultyという解説員制度を作って、様々な発表演題の解説を行っているようだ。メンバーは世界各国から選ばれており、日本からは国立がんセンターの堀之内秀仁先生もファカルティに名を連ねている。

Dear Colleagues,
ONE WEEK until #ASCO24 🌐
WE ARE READY
WE ARE @OncoAlert 🚨 #OncoAlertAF@nataliagandur 🇦🇷 @acampsmalea 🇫🇷 @MartaPerachino 🇮🇹@heinrich_kat 🇩🇪@BiagioRicciutMD 🇺🇸@DenizCanGuven1 🇹🇷@yekeduz_emre 🇺🇸@HHorinouchi 🇯🇵@FadiHaddad_MD 🇺🇸@Dr_Ivanoncologo 🇲🇽… pic.twitter.com/Ccq2zJpmIh

— OncoAlert (@OncoAlert) May 22, 2024

OncoAlertは普段から非常に充実した情報を提供し続けているので、腫瘍学に関する情報収集にSNSを利用したい場合はフォローすることを勧める。

Oncology Brothers

We are thrilled and honored to be selected as #ASCO24 Featured Voice alongside this esteemed group! Thank you, @ASCO.

Get ready for practice-changing highlights tailored for our community medical oncologists!#OncTwitter #MedTwitter #lcsm #bcsm #gism #gusm #OncMedED #MedEd https://t.co/yrsfxetigw

— Oncology Brothers (@OncBrothers) May 23, 2024

別の腫瘍学で活発なアカウントを紹介するとすれば次にOncology Brothersが挙げられる。ここもASCO期間中に限らず活発な情報提供を行っている。自身の投稿よりもリツイートが多めだ。

Tarantino先生

Less than a week to what promises to be a terrific ASCO24. Multiple trials with practice changing potential, including with ADCs challenging our HER2 categories, CDK4/6 inhibitors beyond progression, adjuvant IO for TNBC and much more. See you in Chicago next week! #bcsm #ASCO24 pic.twitter.com/AWJby4PnPQ

— Paolo Tarantino (@PTarantinoMD) May 24, 2024

個人でも活発にASCO関連の情報を投稿している方はたくさんいる。その数は何百、何千に及ぶが、もしその中でトップ1人を選ぶとすればTarantino先生だろう。

まとめ

ASCOはソーシャルメディアの活発な利用が腫瘍学への関心を高め、腫瘍学の進歩を促すということを理解し、本腰を入れてソーシャルメディアの利用促進に取り組んでいる。一貫しているのは、ASCOの会員が集まる場を作り、参加者にディスカッションを促すというスタンスだ。学会自身の公式アカウントだけが情報を発信しても、SNSを上手に使えているとは言えない。人々が集まり、交流してこそのSNSである。

この継続的な取り組みが、世界でも比類のないレベルの学術集会を作り出しているのかもしれない。ASCOの取り組みから学べるところを学び取り、国内の学会活動にも活かしていきたいと考えている。


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更新日:2024-05-27 閲覧数:434 views.