遺伝性大腸癌メモ
遺伝性大腸癌 遺伝性腫瘍 二次的所見 家族集積性大腸癌 リンチ症候群

- 生殖細胞系列で原因遺伝子の病的バリアントが検出される大腸癌であれば家族集積性の有無にかかわらず遺伝性大腸癌と定義される。
- 遺伝性大腸癌の代表は家族性大腸腺腫症(全大腸癌の1%)とリンチ症候群(全大腸癌の4%)である。
- 原因遺伝子であるMLH1に高度メチル化を受けて失活しているためにMSI-Hを示す散発性大腸癌は遺伝性大腸癌には含まない。
- 原因遺伝子に病的バリアントがなくても家族集積性が認められるものは家族集積性大腸癌と呼ばれる。
- 家族集積性大腸癌は全大腸癌のうち30%を占めると考えられている。
遺伝性大腸癌の種類
常染色体優性遺伝のもの
- 家族性大腸腺腫症
- リンチ症候群
- ポリメラーゼ構成関連ポリポーシス(PPAP)
- Peutz-Jeghers症候群(PJS)
- 若年性ポリポーシス症候群(JPS)
- Cowden症候群(CS)・PTEN過誤腫症候群(PHTS)
- リ・フラウメニ症候群(LFS)
常染色体劣性遺伝のもの
- MUTYH関連ポリポーシス(MAP)
- MSH3関連ポリポーシス
- NTHL1関連ポリポーシス
これらのものは常染色体劣性遺伝であるから両親ともからそれぞれの病的バリアントを受け継ぐときに発症する。
大腸ポリープの臨床像
- FAPでは数百個の大腸ポリープを認めるが、attenuated typeでは100個未満となる。FAP以外のポリポーシスの大腸ポリープ数は10〜100個程度、リンチ症候群やLFSの大腸ポリープ数は数個以内と少ないこともしばしばある。
- PJS、JPS、CS/PHTSの大腸ポリープは数が少なく、形態的にも過誤腫の特徴を示す。
- FAPは浸透率が100%で大腸癌はほぼ必発である。リンチ症候群の発癌率は原因となる変異のパターンによって異なるほか子宮内膜癌のリスクもある。
- 消化管においては、リンチ症候群とLFSは比較的大腸に発癌が偏っているが、その他のものは上部消化管に発癌することもしばしばある。
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更新日:2020-09-15 閲覧数:351 views.