レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2021年 / 10月21日

知ることが支えになる、若いAYA世代のがん

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の3人が、一緒にAYA世代がんについて話し合うTwitterスペースでお話を聞かせてくれました。

3人のやわらかくて優しい語り口のおかげて、深夜ラジオを聴く感覚でリラックスしてお話を聞くことができました。

たられば先生、人に話をさせるの上手だな。話の聞き出し方というか、相手の引き出しの開け方というか。手慣れたツカミ、さりげないアイスブレイク、その気にさせるくすぐり方、いつの間にか流れを作る。これは手練れのナンパ師の手口。

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) October 20, 2021

AYA世代とは

AYAとは「Adolescent and Young Adult(思春期や若年成人)」の略で一般に15〜39歳を指しています。最近AYA世代のがんについて知ってもらいたいという企画が増えてきています。このスペースそのものもその企画の一つと言えます。

AYA week
AYA week 2021公式サイト。知ろう、一緒に。AYA世代(15歳ー39歳)と〝がん〟の今を、世の中に発信する1週間。2021年3月14日始動!
https://ayaweek.jp/

AYA世代と言えば学校に行く、恋愛する、就職する、結婚する、出産するという重要なライフイベントがたくさんある世代です。その時期は人の生涯の中でも最も彩り豊かでドラマチックな感情に包まれる時代かも知れません。ですが、その世代でがんと闘病している人もいます。そして、「そういう人たちがいるということ自体」が、実はまだ十分知られてはいません。

日本全国で新たにがんに罹患する人は年間90〜100万人いますが、AYA世代がんは年間2万人しかいない。中高年でがんになる人には情報は増えて関わり方や社会支援も増えつつある、周りでがんになる人も増えて話を見聞きすることも増えてきた。しかしAYA世代でがんになる人の声はまだ社会に十分届いているとは言えない状況です。だからこそ、ひとりでも多くの人がAYA世代のがんのことを知ること自体が、支えになる。

AYA世代でがんになると何が起こるか。

まず、高校生や大学生なら学校に通えなくなるという問題があります。学校に通えなくなれば、留年する、中退する、卒業できなくなる。その後に病気が治って学校に通い始められるようになっても、出席日数の不足で一つ下の学年に復学することとなれば、それまでの友達たちと離れてしまう。

仕事をしている人なら、仕事が続けられなくなるのがとても困ります。これまで築いてきたキャリアパスを継続できなくなるかもしれません。仕事を通してできてきた社会とのつながりや人間関係も途絶えてしまいます。

新型コロナ禍でテレワークやオンライン授業もかなり普及しました。これは社会にとっては非常に大きな負担になったけれど、学校に通えない子供たちには大きなチャンスを与えてくれた一面もあります。現状では入院中に仕事をしたり授業を受けたりするのも限界があります。特に通信環境の面で病院へのWiFi導入はコスト等の問題もあり普及していないなどの問題が最近言われるようになってきていますが、少しずつ改善に向けての動きも出てきているようです。

気持ちも経済的にも、背筋が凍ります。
将来、当たり前にやっていくんだろうなーってことが絶たれかねないのに、補償や仕事や学校の支援が薄いなんて畳み掛けて絶望しそうです。 https://t.co/HqOBKX9KI3

— いろはにほへと (@pJ0BnsXyqNIfiIo) October 20, 2021

治療にかかる費用の問題

最近の若い人は非正規雇用や預貯金がほとんどない人も少なくありません。休職すると休業補償や失業手当などのセーフティネットが正規雇用者に比べて貧弱です。その世代ではまさか自分が大きな病気になるなんて思ってもいないので、入院中の生活費の助けになってくれる生命保険などの加入率も低いでしょう。仕事ができなくなるとすぐに経済的に行き詰まってしまうというのは深刻な問題です。

小児がんの場合、18歳までにがんに罹患した場合は医療費が国の制度で一定補償される制度があります。また高齢者は高齢者で医療費負担がある程度抑えられているし、40歳以上は介護保険などの福祉的支援も利用できます。しかしAYA世代は小児や高齢者と違い、これらの救済制度の谷間にすっぽりはまり込むように、制度と制度の間からこぼれ落ちてしまっているのです。

妊孕性の問題

AYA世代で強力な抗がん剤治療を受けた場合の副作用として、不妊症になるというような問題もあります。化学療法を開始する前に卵子などを凍結保存しておく等の方法が少しずつではあるものの普及してきていますが、まだまだそのような取り組みができる医療機関は少ない。

抗がん剤治療を始める前に対策を開始する必要があるので、ただでさえ聞かなければならない話、決めなければならないことが多い時期に、とても大変な問題が山積みになっています。

インフォームドコンセントという言葉は、患者が自分の治療方針などを決定する上で「十分な情報を得た上で同意する」という意味で使われます。これは治療方針に関する同意を取得するためには十分な情報を提供する必要があるという趣旨から生まれてきた言葉ではありますが、よく考えるとインフォームドだけでは足りません。十分な情報を与えられ、さらに十分に考える時間を確保した上で同意できるのが本来のあるべき姿です。がん治療を開始するときには特に時間が無いという問題も軽視されがちかも知れません。

周りの人の付き合い方

身近なAYA世代の人ががんになった場合、その友人や同僚はどうすればよいのか。これはなかなか難しい問題です。AYA世代のがんといっても、ひとり一人がんの種類も違えばその病状や治療方針、おかれた家庭環境や学校・職場の状況も違いますから、一筋縄で答えが出る問題では無さそうです。しかし、まず何よりはじめに大切なのは、AYA世代のがんとそれにまつわる諸問題の存在を知ることだと思います。

何かしてあげないとと思って声をかけたり手伝ったりしようと思うのは人情ですが、がんになったAYA世代の方がどのような困りごとを抱えているかを知らずに突撃するのは、空回りしたりかえって負担になってしまったりしかねません。無理に声をかけたり手を差し出すのは、もしかするとあまり賢明な選択肢では無いかもしれませんね。

話し手よりも、話の聞き手に

以前にTwitterで見たこととして、がんになった人に対してどういう声をかけてあげるかよりもどんな話を聞いてあげるかが大切だという話がありました。これは確かにもっともだと思います。むやみやたらに介入しようとするスタンスではなく、私はあなたの味方だよという姿勢を示しつつそっとしておいてあげるというのが一番よいということもあるでしょう。

踏み込まない、でも何かあったら言ってね。その感じだろうな。難しいけど、わかる。 https://t.co/CCjuTQciAC

— 卯月赤苺 (@romanrockhoney) October 20, 2021

いずれにせよ、まずは自分がAYA世代のがんの問題について知ることから。そして、次にAYA世代のがんのことを自分の周りの人にも知ってもらうさりげない取り組みも大切な支えになってきそうです。

AYA世代の問題を知ってもらうことが支援になるので、啓蒙のためのAYA weekという企画を行っている。来年もAYA week 2022やるそうです。https://t.co/2UcUgiCQd8

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) October 20, 2021

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更新日:2021-10-21 閲覧数:3657 views.