リキッドTMBと免疫チェックポイント阻害剤の有効性に関する前向き初報告
(おそらく)初のリキッドTMBとICI奏効の解析がNature Medicineに出ました。
非小細胞肺癌のアテゾリズマブをbTMB 16/Mbで分けて、ORRとPFSのダブル主要評価項目で評価をしています。結果は、ORRはかなり大幅に差が付いていますが、PFSはbTMB高値と低値で有意差はありませんでした。
さすがの奏効率はbTMB高値でかなり優秀
カットオフ値を16mut/MbとするとORRは5.5% vs. 35.7%で圧倒的な差が付くようです。この奏効率は組織TMBのペムブロリズマブどころか、KEYNOTE-158のMSI-H固形がんに対するペムブロリズマブと比べても遜色ない数字です。
しかし二次治療以降で奏効が35.7%もあるのは相当優秀な治療ですが、PFS中央値が5.0ヶ月しかないって不可解な気もしますね。何でそうなるんだ?
無増悪生存期間はかなり微妙
免疫チェックポイント阻害剤なのでPFSは苦手と言えば苦手なんでしょうけど、免疫チェックポイント阻害剤vs.化学療法という比較ではなく、bTMB高値の免疫チェックポイント阻害剤vs.bTMB低値の免疫チェックポイント阻害剤ということなので対照群も免疫チェックポイント阻害剤で有ることには変わり有りません。むしろ逆にbTMBが高値でも免疫チェックポイント阻害剤の初回PDが多いという弱点が避けられないことが明らかになって弱みがかえって目立つといえるかも。
探索的解析として別途された長期フォローのOSは差があり、OS HR 0.54で中央値は13.4ヶ月→29.1ヶ月とかなりの差が付きました。しかし12か月までほぼ差がありません。これも解釈が難しいところです。ちなみに、bTMB<16mut/Mbの群で非小細胞肺癌の生存期間中央値が13.4ヶ月って最近の試験にしてはちょっと悪くないですかね。
興味深いctDNA levelの指標としてのMSAF(maximum somatic allele frequency)
興味深い指標ctDNA levelとしてMSAF(maximum somatic allele frequency)というものがあり、最も高いAFを示した遺伝子のVAFであるMSAF<1%がORR高値に相関してるそうです。MSAFが高い方がctDNAが多数出ていてICIが効きそうなので直感に反する気もしますね。MSAFが低いこと自体が雑多なネオ抗原の豊富さを意味しているのでしょうか?
TMBの測定モダリティの影響も受けそう
ちなみにこのB-F1RST試験はFoundation Medicine bTMB assayでリキッドTMB(bTMB)を算出したって書いてあるけど、これはFoundationOne liquid CDxのbTMBと同じものですよね?same bait setと書いてあるけど、全く同値なのかどうかちょっと自信ないです。名前にB-F1RSTってつけるくらいだから、きっとF1(FoundationOne)とのCOIありすぎるはず…
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更新日:2022-04-19 閲覧数:704 views.