BRAF悪性黒色腫もBRAF阻害剤よりICIを先行
BRAF変異陽性悪性黒色腫の治療としてはダブラフェニブ+トラメチニブやエンコラフェニブ+ビニメチニブなどのBRAF阻害剤とMEK阻害剤の併用療法が標準治療として確立されている。一方で、悪性黒色腫では免疫チェックポイント阻害剤も高い有効性を示すことも知られている。BRAF変異が陰性の場合は悩む余地はないが、BRAF変異が陽性の場合にBRAF阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤のどちらを専攻すべきかは、かなり前から議論があった。
今回、エンコラフェニブ+ビニメチニブに対してニボルマブ+イピリムマブがOSで優越性を示したという第2相SECOMBIT試験の報告が、J Clin Oncolに掲載された。

《ニュース》
— 日本がん対策新聞 (@gantaisaku1105) September 3, 2022
【悪性黒色腫:一次治療】遠隔転移を有するBRAF遺伝子変異陽性の悪性黒色腫と診断された人が治療計画を立てる場合、一次治療として「オプジーボ+ヤーボイ」治療、二次治療として「ビラフトビ+メクトビ」治療を選択する計画がより良好な治療成績をもたらす。https://t.co/QULVDMvvga
これについては2021年のASCOプレナリーの演題にもなっている。こちらはダブラフェニブ+トラメチニブに対してニボルマブ+イピリムマブが2年OSで上回るという成績を示した。序盤で生存曲線がクロスするというのは免疫チェックポイント阻害剤ではよくあるパターンで、最初の瞬発力こそBRAF阻害剤に負けているが、そのあとは圧倒的にニボルマブ+イピリムマブが上を行っている。
Great #ascoplenary on treatment sequencing for BRAFv600 melanoma.
— Shaalan Beg (@ShaalanBeg) November 17, 2021
Upfront anti–PD-1/CTLA-4 demonstrates better 2-year OS compared to starting with BRAF/MEK targeted therapy.
Great job by Dr Atkins and the ECOG/ACRIN team! #asco21 pic.twitter.com/9wvd6RwRXi
考えてみれば大腸癌でもMSI-HとBRAF V600E変異はしばしば共存するので同じような問題が起こることは考えられるが、大腸癌では間違いなく免疫チェックポイントを先行するだろうと思う。OSもその方が長そうであるというだけでなく、治療期間中の患者のQOLもかなり違ってくる。
悪性黒色腫でもニボルマブ+イピリムマブの併用だけで3分の1の人がPFSプラトーを維持できるので、その間の治療管理のしやすさを考えると、どちらも使える場合は(自己免疫性疾患や間質性肺炎などの併存疾患があったり、病巣が極めて巨大で早期のレスポンスが得られなければ生命の危機があるような重篤な病状を除けば)免疫チェックポイント阻害剤を先に使うというのが一般的になってくるだろう。
These PFS curves are gold
— Paolo Tarantino (@PTarantinoMD) November 24, 2021
Nearly all progressions happen in the first 2 years. After that, a flat line of melanoma survivors, some of which have likely been cured of their metastatic disease https://t.co/oGinIEkpYt pic.twitter.com/ELklCo2xLq
順次使用ではなく同時併用するとどうなるか
悪性黒色腫ではすでにこれらを逐次利用ではなくペムブロリズマブ+ダブラフェニブ+トラメニチブという3剤併用で使用する第2相IMPemBra試験も実施されて2020年のASCOで発表されている。
肺がんは言うに及ばず乳癌も大腸癌も何でも全部盛りの時代だから、当然BRAF V600E悪性黒色腫もこうなる。むしろなぜ今まで無かったのか!?ダブラフェニブ+トラメチニブにさらにペムブロリズマブを上乗せ。ガストのメニューで言えばミックスグリル。
— レ点🧬 (@m0370) May 20, 2020
/ASCO2020 #10021 https://t.co/xegg67W8dn
しかし悪性黒色腫では既に第3の免疫チェックポイント阻害剤である抗LAG-3抗体レラトリマブが米国で上市されていて、免疫療法同士でもかなりの混戦になっている。最終的にどこに落ち着くのか。
ついにPD-1ともCTLA-4とも異なる免疫チェックポイント阻害剤が出てきましたわ。抗LAG-3抗体レラトリマブが悪性黒色腫で有意にPFS改善(4.6→10.1ヶ月 HR 0.75)。LAG-3含め有利なサブタイプははっきりせず。AEは疲労下痢肝障害肺炎など全般に増加…。RELATIVITY-047試験。https://t.co/G1lSe7BdNr
— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) January 8, 2022
大腸癌でもエンコラフェニブ+セツキシマブにニボルマブを上乗せした試験が実施されているが、大腸癌は悪性黒色腫ほどには免疫チェックポイント阻害剤が効かないので、こちらもまだどうなるかわからない。
Newly Activated #NCTN #ColorectalCancer Trial: (S2107) Testing the Addition of Nivolumab to Standard Treatment for Patients With Metastatic or Unresectable Colorectal Cancer That Have a BRAF Mutation, led by @SWOG Learn more: https://t.co/HhLALj6Kwm pic.twitter.com/Vv3JGLyVws
— NCI CTEP Clinical Research (@NCICTEP_ClinRes) July 7, 2022
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更新日:2022-09-03 閲覧数:868 views.