レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2021年 / 10月25日

胃癌・食道癌の一次治療に対するケモコンボ承認間近

胃癌 食道癌 レジメン

胃癌および食道癌では一次治療での免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用に関するエビデンスが揃ってきています。昨年のESMOはこのICI+化学療法の話題で大盛り上がりでした。ICI単剤ではKEYNOTE-062試験などがやや不満の残る結果であったことからICIが一次治療で使われる状況は長らくありませんでしたが、ここに来てケモコンボが多数登場したおかげでかなり様相が変わってきました。

えぇっ…:;(∩´﹏`∩);:
KEYNOTE-590が出てきて食道癌はFP+ペムブロリズマブが乱入してくるのか…。CHECKMATE-649は胃癌食道癌両方含む試験だから、もうヤケクソのメチャクソになってきたな。戦国時代すぎるでしょ… #ESMO20 https://t.co/YS3gwngicB

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) September 24, 2020

FDAではかなり早くから承認されていましたが本邦では今のところまだ保険適用でこれらの併用はされずにおり、承認を今か今かと待っておりましたが、数日前にTwitterにこんなツイートがありました。

11月4日に医薬品第二部会(その2)

▽キイトルーダ 食道がん1次治療の追加(化学療法と併用)

▽5-FU 食道がん(1次治療でキイトルーダと併用)

▽オプジーボ 胃がん1次治療の追加(化学療法と併用)及び食道がん術後補助療法の追加

— ミクス編集部 (@mixonlinejp) October 21, 2021

食道扁平上皮癌におけるペムブロリズマブとCDDP+5FUの併用療法はKEYNOTE-590試験に準拠、胃癌・食道癌のニボルマブとFOLFOX/CAPOXの併用療法はCHECKMATE-649試験に、あるいはアジア限定のニボルマブとSOXとの併用療法はATTRACTION-4試験(ONO-4538-37試験)に準拠しています。

なお、よく似た試験でCHECKMATE-648試験があり、こちらは食道扁平上皮癌限定でのニボルマブ+化学療法とニボルマブ+イピリムマブを比較しています(参考サイト)。

ペムブロリズマブと化学療法の併用が食道癌1次治療のスタンダードに
進行食道癌の1次治療として、抗PD-1抗体ペムブロリズマブと化学療法(シスプラチン+5-FU)の併用療法は、化学療法単独に比べて全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが、フェーズ3試験であるKEYNOTE-590試験の中間解析で明らかになった。また抗PD-1抗体ニボルマブによる術後補
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/report/202010/567530.html
ニボルマブ+化学療法で進行胃癌の1次治療が10数年ぶりの進歩
(2ページ目)9月19日から21日まで開催されたESMOVIRTUALCONGRESS2020(ESMO2020)では、進行胃癌の1次治療においてポジティブな結果が得られたCheckMate649試験、ATTRACTION-4試験の、2つの試験が注目を集めた。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/report/202010/567544_2.html

各試験の文献

各試験の文献URLはこちらです。

KEYNOTE-590(食道癌一次治療 ペムブロリズマブ+CDDP+5FU)

Pembrolizumab plus chemotherapy versus chemotherapy alone for first-line treatment of advanced oesophageal cancer (KEYNOTE-590): a randomised, placebo-controlled, phase 3 study
Compared with placebo plus chemotherapy, pembrolizumab plus chemotherapy improved overall survival in patients with previously untreated, advanced oesophageal squamous cell carcinoma and PD-L1 CPS of 10 or more, and overall survival and progression-free survival in patients with oesophageal squamous cell carcinoma, PD-L1 CPS of 10 or more, and in all randomised patients regardless of histology, and had a manageable safety profile in the total as-treated population.
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)01234-4/fulltext

CHECKMATE-649(胃癌・食道腺癌一次治療 ニボルマブ+FOLFOX/CAPOX)

First-line nivolumab plus chemotherapy versus chemotherapy alone for advanced gastric, gastro-oesophageal junction, and oesophageal adenocarcinoma (CheckMate 649): a randomised, open-label, phase 3 trial
Nivolumab is the first PD-1 inhibitor to show superior OS, along with PFS benefit and an acceptable safety profile, in combination with chemotherapy versus chemotherapy alone in previously untreated patients with advanced gastric, gastro-oesophageal junction, or oesophageal adenocarcinoma. Nivolumab plus chemotherapy represents a new standard first-line treatment for these patients.
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00797-2/fulltext

CHECKMATE-649試験は、対象は当初TPS+でしたが、途中からCPS≧5に変更されました。CHECKMATE-032と061からCPSが良いpredicterと判断されたためのようです。

ATTRACTION-4中間解析(アジア限定胃癌・食道扁平上皮癌一次治療 ニボルマブ+SOX/CAPOX)

ATTRACTION-4は今のところまだ中間解析しかpublishされていないようです。学会レポートはこちらが参考になります・

Safety and efficacy of nivolumab in combination with S-1/capecitabine plus oxaliplatin in patients with previously untreated, unresectable, advanced, or recurrent gastric/gastroesophageal junction cancer: interim results of a randomized, phase II trial (ATTRACTION-4)
Nivolumab is approved as an option for third- or later-line treatment of advanced gastric/gastroesophageal junction (G/GEJ) cancer in several countrie…
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0923753419310361?via%3Dihub

それぞれの試験の比較もされています。

胃がん、胃食道接合部がんに対するICIの適応についてCM649、ATTRACTION-4、KN590、CM577の結果をもとに論考している。https://t.co/Pab31RkZdT pic.twitter.com/9lgjbAFnc4

— уон (@Yoh_tw) February 22, 2021

バイオマーカーでは

胃癌はNCCNのガイドラインではCPSが5以上かどうかで層別化されているようです。CHECKMATE-649試験の結果を反映してのことですが、CHECKMATE-649試験では副次的評価項目とは言えCPS<5でもOSは伸びていたはずなのです。一方でアジア限定で実施されたATTRACTION-4ではPFSが有意に延長したのに対して、全CPSでのOSは有意水準には到達しませんでした。ATTRACTION-4はアジアでの治療実施でしたが、アジアは後治療の実施率が高く、特に後治療でニボルマブを使われている割合がかなり高かったようです。日本ではCPSでの治療分けが保険承認の条件化されるかどうかが気になるところです。

いまNCCNガイドラインはどうなってるんだと見てみたらCPS>=5ではCAPOX(または5FU+OX)+NIVOが一次治療の選択肢に入ってるな。これはCHECKMATE-649試験の結果を反映してのことだが、CPS<5でもOSが伸びたはずだけど主要評価項目じゃないから外されたのかな…?

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 24, 2021

またMSI-Hに限定するとCHECKMATE-649のOSはHRが0.3台と圧倒的な差をつけた成績になり、大腸癌と同じように胃癌でも早期からMSI-Hステータスを評価することが正当化されるかも知れません。

CHECKMATE-649のフォレストツリープロット、MSI-H群はOS中央値未達でHR 0.3って、これ胃癌でもMSI大腸癌の一次治療KEYNOTE-177みたいに、初回治療前にMSI検査を行うほうがよいのでは?
(むしろMSI胃癌でChemo+NivoはNivo単剤に有意差を付けられるのか?Chemo要らなくね?)

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) November 21, 2020

まもなく胃がんと食道癌で一次治療から免疫チェックポイント阻害薬と化学療法をすることが可能になりそうです。あとはPD-L1のCPSでの制限がつくのかどうか、食道癌では扁平上皮癌や腺癌といった組織型での縛りがつくのかどうかという点は気になりますが。何れにせよ早速レジメン申請が必要になりそうです。胃癌ガイドラインが改訂されたばかりなのにまた根本から大きく書き変わってしまいました。これからまた忙しくなりますね…。


この記事に対するコメント

このページには、まだコメントはありません。

お名前:

更新日:2021-10-25 閲覧数:815 views.