レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2020年 / 11月25日

過渡期にもがいた経験がある強み

medtools先生はいつも非常に示唆に富み考えさせられるツイートをされていますが、今日のツイートは特に感慨深かったのでここに記録しておきます。

ガイドラインが読めることと、ガイドラインを利用できることとの間には大きな隔たりがある。フローチャートみたいなもので分岐が描かれていても、そこには「専門家の相場観」みたいなものが前提に立っていることが多々あり、それを体感するには、専門家と一緒に働いてみないと無理だったりする。

— medtoolz (@medtoolz) November 24, 2020

ガイドラインでも添付文書でも、その知識の前提となる研究背景やそれが成立するまでの歴史的経緯を知らないで文面だけの丸暗記を求めても、その理解は深みが出ず表面的なものになりがちです。

本当の専門家というのは、「試行錯誤を許された時代を知っている人」なんだと思う。その人達が登山道を切り開くと、後進はそこを歩くから、頂上への到達こそ早くなるけれど、脇道に迷った時の戻しかたを学ぶ機会は遠ざかる。

— medtoolz (@medtoolz) November 24, 2020

なぜそのようなガイドラインの表記がなされるに至ったのか、その時代の背景や研究動向なども知っていれば、根っこの理論から地に足付いた理解を得られます。表面的な理解にとどまっていればイレギュラーなケースに足を掬われてガイドラインなんて役に立たない!と思わされがちな局面で、ガイドラインがうまく適用されるケースとされないケースを経験的に知っているのは強い。

後進の専門家は、「ガイドラインには2グラムと書いてある。自分もずっと2グラム使って治療してきた。トラブルはなく疾患は治癒した」という説明をする。
山道を切り開いた人は、「4グラム使ったらこんな合併症があった。1グラムに減らしたらこんな不利益が出た。それぞれこう切り抜けた」を語れる。

— medtoolz (@medtoolz) November 24, 2020

結局ガイドラインをよく熟知した人はガイドラインに当てはまらないケースでの対応力も身につけていることができるのですが、これを自分だけで後から習得するのは難しく、やはりそのコンセンサスが形成されてゆく過程の歴史の中に身を投じて一緒に悩んだり考えたり試行錯誤する過程を体験しておくことが貴重と言えそうです。

ガイドラインには、「この薬剤は生理食塩水100mに溶解、輸液ポンプで8時間かけて滴下する」とは書いてあっても、「間違って10分で前回滴下してしまった時に何が起きるのか、そこで生じる患者さんの不具合をどうすれば回避できるのか」までは、なかなか書いていない。

— medtoolz (@medtoolz) November 24, 2020

>RT 試行錯誤の時代を知っている人という点で、例えばがん領域では最近の免疫やらゲノムの進歩を間近で見た経験ってのは今後強みになると思うけど、5〜10年後には当然新たな領域の試行錯誤があるわけで、強いかどうかは食らいついて勉強を続けるか追いかけるのをやめてしまうかということなんだと思う

— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) November 24, 2020

がん診療はこの5年ほどでも免疫チェックポイント阻害剤やがんゲノム医療などの様々な新しいツールが登場してきており、いずれも非常に強力なポテンシャルを秘めていながら、あまりにも膨大なデータが一気に突きつけられたものだから現場は若干振り回され気味になっています。しかし
ここで振り回された経験は将来的にこれらが「ガイドラインに載るくらいに当たり前のツール」になったときの強みにつながるのかもしれません。

「そうでも考えないとやっとれん」ということでもあります。


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更新日:2020-11-25 閲覧数:834 views.