Papers2の思い出(2)
Papers3のリリースとバグ多すぎ問題
Papers 3 - http://t.co/Th2ndXqRPB Simpler, yet more powerful. For Mac, iOS and Windows #papersapp
— Alexander Griekspoor (@mekentosj) September 18, 2013
しかし、Papers2の後継版として2013年末にDropboxでのクラウド同期やiPadなどのモバイル端末にネイティブ対応していることを謳ったPapers3が発売されてからは若干雲行きが怪しくなりました。
Papers 3 は何が新しくなったんだろう? http://t.co/xpVkutNNRY
— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) September 19, 2013
バグ多すぎ問題と対応の遅さへのファンの不満
発売直後のPapers3はバグが多すぎて、同期が途中で止まってしまう、Pubmedなどから文献情報を自動取得できないなどが相継ぎました。何よりもアプリが重すぎて、ユーザーコミュニティでは開発元のMekentosj社に対する文句がたくさん寄せられていました。
その後も少しづつバグ修正は進んでゆきましたが、満足できるレベルにはなかなかなりません。ユーザーコミュニティのBBSでのやりとりを見ると、どうやらMekentosjは個人オフィスとも言えるほど少人数で開発をしていたようです。バグ修正のアップデートも遅々として進まず、その間にMendeleyが人気を集めて巨大学術出版企業Elsevirの傘下に入ったり、それに対抗してか新興のクラウドベース文献管理アプリReadcubeがNature publishing groupに加わったりしていました。まさに16世紀に今川氏と武田氏に挟まれた徳川家のような状態だったわけです。知らんけど。
▲Papers3のバグの多さと修正の遅さに失望を隠せないファンの記事
挽回のために講じる策も身を結ばず
Papers3も手をこまねいていたわけではなく、それまでMac版しかなかったPapersのWindows版を出したり、引用文献一覧を作るアドインはMicrosoft WordのほかにPagesやOmniOutlinerや、新しく登場した原稿執筆アプリManuscripts.appに対応させるなどの対策を進めていました。2015年9月からはiPhone/iPad版のPapers appを無償化して挽回を図ります。
文献管理ソフト8選特集。colwiz、EndNote、F1000Workspace、Mendeley、Papers、ReadCube、RefME(Cite This For Meに統合)、Zotero。
— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) November 5, 2017
/Nature ダイジェスト https://t.co/aA78J87Rok
しかし、いかんせん開発が遅い。バグを修正すると言ってからそのバグが修正されるまで何ヶ月も、場合によっては1年もかかることもありました。結局、ユーザーコミュニティBBSではPapers3からPapers2に戻して様子を見るという声がかなり見られました。ぼくもその1人でした。
Papers2の検索機能が使用できないMac OS Sierraの登場
実はPapers3がリリースされてからもPapers2を使い続ける根強いファンが多かったことから、当初はPapers2はPapers3と併売を続けられていました。しかし、次第にPapers2は重要なバグ修正のみがリリースされるようになり、いつしかPapers2の開発は完全に止まってしまいました。
そして、Mac OS XがSierraになったときに多くのPapers2ユーザーが非常に大きな問題が起こりました。
Papers2にはPDF内検索をするとその単語をイエローでハイライトしてくれる機能があるのですが、Sierraにアップデートしてからは検索すると表示が大きくズレたところにハイライトが表示されるようになってしまって、全くPDF内検索が使い物にならなくなってしまったのです。
これには多くのユーザーが困惑し、Papers公式サイトのサポートに多くの修正要望が出されたり、当時はまだTwitterをしていたPapers開発者(Alexander Griekspoor @Mekentosj)に直接交渉を試みる人もいました。当時のサポート窓口からの返事は「Papers3を使ってね」というものでした。この件で多くのユーザーがPapers2を離れたと記憶しています。
なお、Sierraで生じたこの検索機能のバグはなぜか次期バージョンのMac OS Xでは自然に直っていました。おかげでぼくは今もParers2を使えています。
PapersがMekentosjからReadcubeに移管される
2016年にはまたしても大きな動きがありました。そして、これがPapersの運命を決定的に不可逆にしてしまう動きとなりました。
これってどう言う意味なんかねぇ?papers発売元のmekentosjが2012年にspringerに買収されて、今後はpapersはreadcubeに統合される?papersは消滅?
— レ点.bot💉💊🧬 (@m0370) February 23, 2017
/Papersapp Support https://t.co/7adY6g1dmt
Papersが、それまで丁寧なサポートをずっと続けてきたPapers開発者でありMekentosjの責任者でもあったAlexander Griekspoor氏の手を離れてNature Publishing Groupの資本系列であるReadcubeに買収されるという大事変が起こります。
Sorry to hear that, I left Papers two and years ago however, you will need to contact @readcube
— Alexander Griekspoor (@mekentosj) February 23, 2018
それを知らずに開発者のAlexander Griekspoor氏に「バグをなんとかしてよ!」と訴えるファンに、悲しそうに答えるAlexander Griekspoor氏。この人はPapersの最初のリリースからずっとMekentosjの中心で活動してきた方で、2ちゃんねるでいうひろゆき氏のような存在です。このツイートでAlexander Griekspoor氏がすでにPapersの開発を離れていることを初めて知ったファンが多く、衝撃が走りました。
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更新日:2020-05-27 閲覧数:2813 views.