日本臨床腫瘍学会(JSMO)のハッシュタグ切替えについて

日本のオンコロジー関連学会では、学術集会の情報発信や議論を活性化させるために、SNS上で公式ハッシュタグを活用している。特に年1回の定例的な学術集会では、ハッシュタグの形式に一定のルールが見られる。
日本臨床腫瘍学会(JSMO)はこれまで西暦4桁方式のハッシュタグ、例えば #JSMO2024 などを利用してきたが、今年から海外方式に合わせて西暦2桁方式、つまり #JSMO25 に切り替えることを表明した。
本記事では、主要ながん関連学会がどのようにハッシュタグを設定しているかを整理し、その傾向について分析する。
これまでJSMOでは西暦4桁のタグが使われてきたが、海外学会では #ASCO24 #ESMO23 など西暦2桁が一般的。JSMOでも、海外からの参加者は昨年までも西暦2桁方式のハッシュタグ #JSMO24 などを使った投稿を行い、一方で国内のユーザーはもっぱら西暦4桁方式のハッシュタグ #JSMO2024 を使ってきた。
学会・学術集会に関する投稿で使われるハッシュタグ。これまでJSMOでは西暦4桁のタグが使われてきましたが、海外学会では #ASCO24 #ESMO23 など西暦2桁が一般的。JSMOも国際的な流れに合わせ、今年から #JSMO25 を公式ハッシュタグとして採用しました。
— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) February 17, 2025
投稿の際は #JSMO25 をお使いください! pic.twitter.com/y9X0HHASUf
ハッシュタグは、共通の話題に触れている人同士を互いにリンクさせて話題を盛り上げる効果を持つが、異なるハッシュタグは検索結果に表示されないため、4桁方式を使っているユーザーと2桁方式を使っているユーザーは互いに全く見えない。
海外のKOL(キーオピニオンリーダー)がJSMOに講演に招聘され、その時の様子をツイートしても、全く #JSMO24 というハッシュタグが使われていない様子を見て、その過疎っぷりにあきれたのではないだろうか(実際には西暦4桁ハッシュタグでの投稿は一定数存在した)。
このような状況を振り返った結果として、JSMOも国際的な流れに合わせ、今年から #JSMO25 を公式ハッシュタグとして採用したとしている。
他の学会はどのようなハッシュタグを使っているか
日本臨床腫瘍学会(JSMO)
公式ハッシュタグの形式: #JSMO + 開催年
- 例:
- 2025年:#JSMO2025 → #JSMO25 に移行予定
- 2024年:#JSMO2024
- 2023年:#JSMO2023
- 特徴:
- 西暦をそのまま付ける形式を維持。
- 2025年の第22回学術集会では「#JSMO2025」ではなく「#JSMO25」とすることを表明。
日本癌治療学会(JSCO)
公式ハッシュタグの形式: #JSCO + 開催年
- 例:
- 2024年:#JSCO2024
- 2023年:#JSCO2023
- 2022年:#JSCO2022
- 特徴:
- JSMOと同様、西暦表記を用いる。
- 開催回数(62回など)はハッシュタグには含めず、年数のみを使う。
日本乳癌学会(JBCS)
公式ハッシュタグの形式: #JBCS + 開催年
- 例:
- 2024年:#JBCS2024
- 2023年:#JBCS2023
日本胃癌学会(JGCA)
公式ハッシュタグの形式: #JGCA + 開催年
- 例:
- 2024年(第96回):#JGCA2024
- 2023年(第95回):#JGCA2023
日本消化器関連学会週間(JDDW)
公式ハッシュタグの形式:#JDDW + 開催年
- 例:
- 2024年:#JDDW2024
- 2023年:#JDDW2023
- 特徴:
- 日本消化器関連学会週間(Japan Digestive Disease Week)は、消化器関連の複数の学会が合同で開催する大規模な学術集会。公式ハッシュタグは、開催年を組み合わせた形式で統一されている。
日本緩和医療学会(JSPM)
公式ハッシュタグの形式:#JSPM + 開催年
- 例:
- 2024年:#JSPM2024
- 2023年:#JSPM2023
このように多くの国内学会は西暦4桁方式を採用してきた。一方で、西暦2桁方式を早くから採用してきた学会もあり、その代表は日本がんサポーティブケア学会である。
日本がんサポーティブケア学会(JASCC)
公式ハッシュタグの形式:#JASCC + 開催年2桁
- 例:
- 2025年:#JASCC25
- 2024年:#JASCC24
日本がんサポーティブケア学会(Japanese Association of Supportive Care in Cancer)は、がん患者の生活の質向上を目的とした学会。公式ハッシュタグは、学会の略称と開催年の下2桁を組み合わせた形式で使用されている。例えば、2025年の第10回学術集会では「#JASCC25」が公式ハッシュタグとして案内されている*1。海外にあるがん支持療法の学会が #MASCC24 というハッシュタグを使っており、国内学会もそれに合わせているのかもしれない。
日本循環器学会(JCS)
西暦2桁方式を前に持ってくる方式を採っているのは日本循環器学会。#JCS24 ではなく #24JCS である。
公式ハッシュタグの形式:開催年2桁 + #JCS
- 例:
- 2024年:#24JCS
- 2023年:#23JCS
日本癌学会(JCA)
少し変わっているのは、開催回を採用している学会。ただし日本癌学会は意外と統一されておらず、年によって西暦4桁方式だったり開催回方式だったりする。聞くところでは日本癌学会は学術集会ごとの大会長の裁量権が非常に大きく、開催方式やスライド撮影許可の有無なども毎年基準が変わる。
公式ハッシュタグの形式:#JCA + 開催回 or 開催年
- 例:
- 2024年(第83回):#JCA83
- 2023年(第82回):#JCA2023
日本肝臓学会(JSH)
日本肝臓学会は以前から一貫して開催回を採用している。肝臓学会は、東部会と西部会という支部会も開催しているが、これも開催回を採用している。
公式ハッシュタグの形式:#JSH + 開催回
- 例:
- 2024年(第61回):#JSH61
- 2023年(第60回):#JSH60
- 2023年西部会(第45回):#JSHW45
ただし肝臓学会が開催回を採用しているのは、「JSH」を略称とする学会が他にも複数ある影響があるためだ。たとえば #JSH24 は日本血液学会で使用している人が多く、 #JSH2024 は日本高血圧学会で使われていて、西暦を採用するとどうしても他学会との重複が避けられない。
ややこしいことに、2024年の日本血液学会と日本高血圧学会はほぼ同時期に開催されていたこともあって、双方のハッシュタグ利用者に混同が見られた。すでにJSHの略称を抑えられている肝臓学会は西暦ではなく開催回を採用するしかなかったのも理解できる。
ちなみに消化器病学会も開催回を採用していて、最近では #JSGE110 というハッシュタグでの発信を積極的に行なっていた。肝臓学会と近い立ち位置なのでこの方式が浸透したのかも知れない。
開催回を使う場合、「今年は第何回だったかな?」というのが直感的にわかりにくいという問題はある。
海外学会では西暦2桁方式が主流
これはいうまでもなく、海外は西暦2桁方式が主流であり、 #ASCO24 や #ESMO23 などが使われている。英語ではもともと西暦を下2桁しか読まない・表記しないことは一般的であり、日本よりも下2桁で年を表すことに慣れているという言語的な違いもありそうだと感じる。
他にも #AACR24 や #HTTR24 や #GI25 #GU25 など海外学会は基本的に西暦2桁方式がほとんどだ。
ハッシュタグ切替の決断に伴うリスクとメリット
西暦4桁方式(#JSMO2025)は従来から使用されていたことに加え、癌治療学会・肺癌学会・乳癌学会・JDDWなどJSMO以外の国内の主要学会も使用していたため、慣れているというメリットがある。
しかし、海外学会(#ASCO24、#ESMO23など)は2桁方式が主流であり、海外参加者はこれまでも#JSMO24などを使ってきていたため、日本の学会ではSNSがほとんど使われていないように見えるという問題があった。
JSMOが国際化を目指す方針を(諦めずに)今後も継続するのであれば、海外学会が日本の方式に合わせることはまず期待できず、いずれはどこかのタイミングで2桁方式へ移行する必要があっただろうと思われる。そのため、今回がそのチャンスだと判断し、今年から2桁方式(#JSMO25)に統一することを決定したのだろうと思われる。
もしハッシュタグを切り替えるという方向で決定したのであれば、(ハッシュタグが分散するとその効果が大きく損なわれるため)、切り替えに際して十分なアナウンスを行い、周知徹底する必要がある。
昨年まで #JSMO2024 などを使用して投稿していたアカウントが #JSMO25 を使うようになるかどうかは、新しいハッシュタグの定着に大きく影響を与える。また、他のオンコロジー関連学会が2025年以降にどのようなハッシュタグを使用するか、西暦2桁方式に追随してくる動きが出てくるかどうかも、この西暦2桁方式の普及に大きく関わる要素となるだろう。
この記事に対するコメント
このページには、まだコメントはありません。
更新日:2025-02-18 閲覧数:933 views.