レ点腫瘍学ノート

Top / 日記 / 2021年 / 1月7日

母体の子宮脛癌が胎児に転移した話

がんゲノム

母体の子宮脛癌が児に同種メタの話、元論文は壮大な話だった。1歳11ヶ月でNECと診断された児、出産3ヶ月後に頸癌(後に神経内分泌成分を含むと再診断)と判明した母、児の腫瘍細胞はY染色体を持たず、WESではSNVが母の腫瘍と20個一致してHLA Iは児と異なるものだった。

Vaginal Transmission of Cancer from Mothers with Cervical Cancer to Infants | NEJM
Original Article from The New England Journal of Medicine — Vaginal Transmission of Cancer from Mothers with Cervical Cancer to Infants
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2030391

母体の子宮脛癌が児に同種メタの話、元論文は壮大な話だった。1歳11ヶ月でNECと診断された児、出産3ヶ月後に頸癌(後に神経内分泌成分を含むと再診断)と判明した母、児の腫瘍細胞はY染色体を持たず、WESではSNVが母の腫瘍と20個一致してHLA Iは児と異なるものだった。
/NEJM https://t.co/NbFRESZ8P8

— レ点🧬 (@m0370) January 7, 2021

そして児はCDDP+CPT-11とCDDP+VP-16の後にニボルマブ単独療法を受けた後にVATSをしたらpCRだったと。一方で母はニボルマブ第2相に参加したが4サイクルでPD、5ヶ月後に死亡した。ICIの効果の差は「自分の腫瘍細胞」「他人の腫瘍細胞」の違いによるものか…

ちなみにNEJMのは1例報告ではなく2例報告で、2例目は6歳児に診断されたもので男児の肺から子宮脛癌細胞を検出、ICIではなくプラチナダブレット後に片肺全摘されて存命だが母は2年後に死亡と。ちなみに母は出産前にちゃんと頸癌検診を受けているが頸癌が確定したのは経膣分娩後。

母から胎児への同種転移は既報が結構あるらしくTable1にまとめられている。血液腫瘍は胎盤を介して移りやすそう。他はメラノーマがかなり多く、肺小細胞癌やNECが多い。分化度が低く転移能が高い方が母から児への同種転移も起こりやすそうな印象。

Case1の胎児のNECがニボルマブ単剤でCRになったというのを聞くと、ICIは「HLA不一致の他人の腫瘍細胞」には超絶ウルトラ強そうなので、切除不能固形がんにもHLA不一致血縁ドナーから同種骨髄移植後にICIという一発逆転という手があるのでは?と思ったが、よく考えたらirAEも超絶ウルトラ強そうだな。。

児は1歳11月で診断、3歳で化療開始、4歳2ヶ月でpCR確認。母は産後3ヶ月で診断、術後4サイクルの3年後に再発、3次治療でニボ4コースの5ヶ月後に死亡。時系列がわからないが、母はせめて終末期の病床で子がCRになった知らせを聞けたのだろうか?(それが母の無念をいくらかでも癒やしてくれていれば…)


この記事に対するコメント

このページには、まだコメントはありません。

お名前:

更新日:2021-01-07 閲覧数:291 views.