レ点腫瘍学ノート

Top日記2025年3月11日

JSMO2025反省会(Part2)

#JSMO25 JSMO 学会

Part1はこちら

JSMO2025反省会(Part1) - レ点腫瘍学ノート
#JSMO25 JSMO 学会 例年のごとく、今年もJSMO2025 #JSMO25 反省会を行います。昨年も一昨年も実施しましたが、例年同様に「反省会」というタイトルであっても「ふり返り」という意味であり、ネガティブな意味ではありません。どのような会だったかを後年に忘れないようにし、また来年以降も会員が楽しみながらためになる学術集会を

Part2

今回、ぼくは #JSMO25 会期中の多くの時間を委員会企画枠やイベント枠などの特殊系セッションで過ごしました。通常のシンポジウムやオーラル発表を聞く時間が少なく、少し残念な気もしましたが、委員会企画を盛り立てようとする各先生方の取り組みを間近で見ることができ、その熱意に触れ、自分自身もその一端を担えたことは大きな収穫でした。

シンポジウムや一般オーラルと異なり、委員会企画枠には学会参加者からの「演題応募」はありません。どのような内容にするか、誰に登壇してもらうかを各委員会やワーキンググループのメンバーが半年以上前から何度もミーティングを重ねて準備しています。そのため、一般セッションでは見られないようなニッチな視点に立脚した手作り感のあるディスカッションが展開されるのも委員会企画の魅力です。

ここで、いくつかの委員会企画枠についての感想を書いておきます。

今日は早起きして複数のタスクをこなして忙しいと思ったけど、そんなショボい仕事より5倍とか10倍とか忙しい人のスケジュールと働きぶりを何人も見せられて、なんか忙しいとか言ってたのが恥ずかしくなってきたわ。忙しくないです。

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 6, 2025

広報渉外委員会 SNSワーキンググループ(SNS-WG)

昨年の #JSMO2024 では、初日夕方の最終コマに配置されたSNS-WGシンポジウムでしたが、今年は初日の朝8:30からという参加者を集めにくい時間帯に設定されました。しかし、学会のSNS利用について関心を持つ人は多く、早朝にもかかわらず多くの参加者が集まりました。

昨年は広報渉外委員会の90分枠がすべてSNS-WGに割り当てられていましたが、2023年まではこの枠は主に禁煙関連セッションとして利用されていました。今年は90分枠を禁煙30分、SNS-WG 60分に分割する形になったようです。

SNSの誤情報の例
・日本は欧米で使われなくなった抗がん剤を売りつけられている
・抗がん剤によってかえって早死にする
・西洋医学はグローバル企業に操作された情報
・子宮頸がんワクチンの副作用
・オーガニック等、にんじんジュースでがんが治る

どれもよく聞く…#JSMO25

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 6, 2025

シンポジウムでは、がん情報のファクトチェックについて研究し論文を執筆された呉山菜梨先生、JSMO SNS-WGの扇屋大輔先生が登壇し、JSMO SNS-WGが医学生・研修医のための腫瘍内科セミナーのサポートをどのように行ってきたかを紹介しました。さらに、日本リウマチ学会などでのSNS利用について知見を持つ萩野昇先生が登壇し、SNS上でのコミュニケーションについて「よりメタな視点」からの考え方を提示しました。

・医者は、社会の中では「うっすら嫌われている」
・誤りを誤りと認める知的誠実性が受け入れられにくい土壌
・本当に「正しい医学情報」にこだわると身動きが取れなくなる
・SNSは診察室ではない(パターナリズムは反発を生む)
・初めてのステロイドパルスをする研修医の気持ちを忘れない#JSMO25 pic.twitter.com/5jsmC4afms

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 6, 2025

萩野先生の講演は、SNSにある程度慣れた参加者にとって非常に有益な内容でした。医者は、社会の中では「うっすら嫌われている」 という言葉はTLでも多くの萩野ファンにウケていたようです。せっかくならばSNS-WGというインターネットと親和性の高いグループが主催するセッションだったため、ライブ配信を実施し、現地に来られない人にも参加の機会があればさらに良かったと思いますが、今回の学会では予算の都合によりライブ配信は第1・2・7会場とPAP会場に限定されていたため、実現には至りませんでした。

正しい情報を突き詰めすぎると、AC公共広告機構のCMみたいになってつまらなくなっちゃう問題はある。脱線する話のほうがおもしろいのも事実。 #JSMO25

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 6, 2025

SNSの強みは「リアルタイムの拡散力」なのだけど、それと「慎重な運用」はトレードオフなところがある。医学情報を発信するなら大事なのは後者か。 #JSMO25

— はなこっぴ (@hanacoppy) March 6, 2025

ちなみにこのセッションでは、初日の最初のセッションだったためか、運営会社側の準備不足により演者卓に備えられていた時計の時間が誤っているというトラブルが発生しました。講演を行う演者にとって時間の管理は重要であり、このようなミスは学会運営において絶対に避けるべきことです。運営会社には深く反省してほしいと思います。

キャリアエンパワメント委員会 Career Support Cafe(キャリカフェ)

JSMO2025において, キャリアエンパワーメント委員会主催で「JSMO’s Career Support Café」をオープンします。キャリア相談。海外の先生を招いたセッションなど、多彩なプログラムを用意しております。企画詳細はこれから,随時投稿いたします☕️#JSMO25 pic.twitter.com/Q1vFFgXUPL

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) February 19, 2025

キャリアエンパワメント委員会は、学術集会の会場内に「Career Support Cafe(キャリカフェ)」というブースを設置し、学術集会の参加者が自由に利用できるオープンスペースを提供しています。お菓子や飲み物を準備し、気軽に談話室として活用できるだけでなく、特定のテーマを設けて関心を持つ人が集まる機会を作っています。その中のいくつかのコマに少し顔を出してみました。

キャリアエンパワーメント委員会/ SNSWG合同企画「SNS 時代における学術活動 ... みなさんどうしていますか?」

個人的には一番恐れていたがやってみると一番楽しかったのがコレ。小部屋でコミュ障が初対面の人と1時間フリートークとか地獄かと思っていたけど、始まってみたらあっという間だったし、表では言えない本音も聞けた。他組織の公式アカウント中の人や、息をするようにSNSをする猛者がいた #JSMO25 https://t.co/6d8Bruf3qy

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 8, 2025

キャリカフェの中で、初日午前に設けられた特別企画「SNS 時代における学術活動 … みなさんどうしていますか?」では、SNSを活用している人や活用を考えている人たちが自由に意見交換を行いました。参加者は15〜20人程度で、JSMOキャリパワ委員会やSNS-WGのメンバーのほか、SNS利用に関心を持つ医療関係者や民間企業の方々も参加していました。

その後のキャリパワ委員会部屋(キャリカフェ)はフォロワー4桁くらいの魔法が使えるのに魔法使いであることを隠している隠れツイ廃が真の姿を隠して集まっている雰囲気でよかったです。

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 6, 2025

部屋の規模や参加者数は小規模でしたが、雰囲気は良く、1時間20分の時間はあっという間に過ぎました。当日の朝に急ぎで作成した数枚のスライドをベースにフリートークを進める形式だったため、不安もありましたが、キャリパワ委員会の手厚いサポートもあり、結果的には非常に有意義な時間となりました。来年も何らかの形でお手伝いできればと思います。

キャリアエンパワーメント委員会 / 会員委員会合同企画「これからのオンコロジストの話をしよう!!〜キャリパワ委員会白熱教室〜」

【JSMO2025キャリアエンパワーメント委員会小部屋企画その⑤】
キャリアエンパワーメント委員会 / 会員委員会合同企画「これからのオンコロジストの話をしよう!!〜キャリパワ委員会白熱教室〜」… pic.twitter.com/sERU0FzvOH

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) February 24, 2025

実は昨年のJSMO2024では「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー(MOS)」の前の時間帯に空き部屋があり、ちょうど昼休みのポスター発表時間帯だったこともあって会場周辺に沢山あつまっている医学生や研修医がどこに行けば良いのかわからず時間を持て余している感じになっていたので、この時間がもったいないと感じていたのでした。

今年はこのMOSの前の時間帯にこのキャリパワ委員会白熱教室が設定されて、MOSに参加する医学生や研修医にも呼びかけた結果、MOS前の時間帯に集まった医学生や研修医を対象にけっこうな盛り上がりがあったようです。国内のがん専門病院や市中病院ではたらく先輩、大学の教員などだけでなく、海外に留学している若手医師なども参加して、医学生や研修医に生の声を届けることができて、貴重な機会になったようです。

昨年のこの時間は「医学生研修医セミナーの前の時間があいてるのはもったいないな」と思ってたけど、今年はこの時間にキャリアエンパワーメント委員会/会員委員会の白熱教室がぴったり収まってたのが非常によかった。 #JSMO25 https://t.co/jnljxLqnSL pic.twitter.com/uJwirnPmCx

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 8, 2025

教育企画部会 / JSMO大学WG「腫瘍内科の魅力をどのように伝えるか?」

こちらは教育企画部会の中に設けられたJSMO大学WG企画枠です。昨年は有名国試予備校講師を招聘するなどの取り組みが行われていました。

最近はどの学会も教育系シンポジウムを充実させ、人材育成についての議論を深める機会を増やしています。今回は、循環器内科の分野で研修医教育に携わる黄先生や、日本全国でもトップクラスの規模を誇る腫瘍内科医局である近畿大学の林先生が登壇し、各施設における腫瘍内科教育についての質疑応答が行われました。

#JSMO25
本日JSMO大学企画セッションにて登壇の機会をいただきました、

『腫瘍内科の魅力をどのように伝えるか?』
3月6日木曜日 16:00~17:30第14会場(神戸国際展示場 2号館 3F 3A会議室)
魅力的な講義をしたいという方は是非お立ち寄りいただけますと幸いです。 pic.twitter.com/UiJwnnKSAk

— 黄世捷 (@KOU_MedTech) March 5, 2025

話を聞いていて、とても勉強になりました。ぼくが普段から感じていることとして、腫瘍内科は医学生や研修医の中での認知度が低い傾向があります。特に、腫瘍内科学講座がない大学出身者にとっては、腫瘍内科という選択肢がそもそも視野に入らないこともあります。そのため、病棟実習や研修医のスーパーローテーションで腫瘍内科医の診療を実際に見てもらう機会を作ることが重要であると再認識しました。腫瘍内科医がいても、外来のみで病棟がない、あるいは病棟があっても学生や研修医がローテーションしないようでは、人材を増やしたくても増えません。人を集めたいなら、それなりにアピールする機会を作る努力が必要だと痛感しました。

一方で、一人医長ではどうにもならないことも事実です。林先生の指摘によると、市中病院の場合、常勤スタッフが2名いることが最低要件であり、理想はスタッフ2名+レジデント1名の体制とのことでした。一般的な400〜500床規模の急性期総合病院の腫瘍内科であれば、この3人体制が整えば、かなりのことが実現できるはずです。まずは、この体制を目指すことが第一歩になります。

次世代育成の点で、市中病院の「一人腫瘍内科医」はなかなか苦しそう。入院も持ちにくいし研修医のローテも受け入れにくいし。せめて2人、できればスタッフ2人+若手1人あれば市中病院であればかなりのことができるようになるので、大学医局はそういう関連施設を増やすことを目指してほしい #JSMO25

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 6, 2025

また、伝統的に日本の研修医教育は入院病棟管理が主体となっています。しかし、入院中に担当した患者の初回外来診察に、以前担当していた初期研修医を同席させるなどして、治療のその後の経過を実際に確認できる機会を設けることが重要であると感じました。

黄先生から「初期研修医には、スタッフと同じ業務を経験させることが大切」という話がありました。下働きのようなことばかりをさせていると不満が募る一方で、スタッフが「自分でやったほうが早い」と判断して全ての業務をこなしてしまうと、研修医は疎外感を覚えてしまいます。どんな小さなことでも、一緒に取り組むことで研修医の興味を引き出せるという話は、非常に参考になりました。

ただし、昨年のJSMO2024では、SNS-WG、キャリパワ委員会、JSMO大学のほかにも、専門医部会企画として「がん教育」や、委員会企画ではなくシンポジウム形式で「その治療、やり過ぎじゃないですか?」といった、地方のがん診療を支える腫瘍内科医の視点を取り入れたディスカッション型の企画が多彩に行われていました。それに比べると、今年はやや臨床試験や新規薬剤(特に二重抗体やADC)の話題に重点が置かれていた印象があります。

医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー(#MOS2025春)

キャリパワ委員会白熱教室の後に開催されたのが、医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー(MOS)です。このMOSの冒頭では、扇屋先生が #MOS2025春 のハッシュタグを使ったSNS投稿を呼びかけたこともあり、散発的ではありますが、このハッシュタグを使った投稿が見られました。昨年夏のびわ湖セミナー #MOS2024夏 では投稿があまり多くなかったことと比較すると、今回は参加者のノリが良かったのかもしれません。

「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー (MOS)」東海大学の扇屋大輔先生が「医学生・研修医が腫瘍内科に関わる情報を発信するメリット」について解説し、皆さんがお使いのSNSでMOSの様子を実際に投稿してもらう時間を作ります。#MOS2025春 #JSMO25 pic.twitter.com/oPSAqXsvSl

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) March 8, 2025

医学生や研修医が真剣にディスカッションしている様子を見ると、こちらも勇気づけられるような気持ちになります。

「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー (MOS)」
グループワークの様子①です!
テーマは「原発不明がん」です。
とても熱いディスカッションが行われています!熱気が伝わってきます!#MOS2025春 #JSMO25 by SNS-WG pic.twitter.com/IchgzKGlrg

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) March 8, 2025

参加者の皆さんがとても楽しんでいたようなので、よかったです。MOSは毎回準備が大変ですが、参加者からの評判が良いと聞いているので、今後も春の学術集会と夏のびわ湖セミナーの2回を継続的に開催していくことになるはずです。この場で得たつながりが数年後に腫瘍内科医として活躍する人材の育成につながることを願っています。また、ここで築かれた人脈は、縦にも横にもつながり続けるものなので、ぜひこの機会を活かして大きく成長してほしいと思います。

プログラム終了しました。皆で腫瘍内科について学び、原発不明がんについて真剣に議論しました。腫瘍内科の未来をつくっていくのは皆様です!これから懇親会です!#MOS2025春 #JSMO25 by SNS-WG pic.twitter.com/55HUaJKoaZ

— 日本臨床腫瘍学会(JSMO) (@JSMO_official) March 8, 2025

高額療養費制度に関する緊急ペイシェント・アドボケイト・プログラム(PAP)

開会2日前の3月4日、突如としてPAPに緊急企画が挿入されることが発表されました。この前日には、全国がん患者団体連合会の轟さんが参考人として衆議院予算委員会で演説*1を行っており、また日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会の3学会合同声明*2も発表された直後だったため、世間からの注目が非常に高まる中での開催となりました。

きた!! #JSMO25 でペイシェント・アドボケイト・プログラム(PAP)緊急企画「みんなで考えよう、高額療養費制度」!!
あさって、神戸のJSMO会場にて!! pic.twitter.com/MeSzzHIZZx

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 4, 2025

また、このセッションが始まる直前、予想以上に多くの聴講者が集まり、部屋の椅子が足りなくなるという事態が発生しました。すると、周囲の空き部屋から椅子を運び、自主的に並べ始める参加者が少なからず現れました。医療者・患者問わず、この高額療養費負担上限引き上げについて強い問題意識を持ち、何らかの形で関わろうとする人々の思いを感じました。

時間がない中での緊急セッティングに携わった方々は、大変なご苦労があったと思いますが、このような企画が実現したことで、学会やがん診療に関わる人々の熱意を改めて感じ、胸が熱くなりました。PAPの場で高額療養費について議論を行えたことは、学会の存在感を社会に再認識させる機会にもなったのではないかと思います。

#JSMO25 Day1の13:00-13:50ってことは、このプログラム表の昼休みだったはずの1時間にぶちこんできたのか…!前後の登壇者から考えて、天野さんや桜井さんは昼メシ抜きで獅子奮迅の大活躍の流れか💪https://t.co/nKvJ1pcOto pic.twitter.com/ERAk7OjsxS

— レ点🧬💉💊 (@m0370) March 4, 2025

Part3に続く


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更新日:2025-03-11 閲覧数:867 views.